2022 Fiscal Year Research-status Report
老化細胞の選択的除去による糖尿病網膜症の予防と早期治療のための薬剤開発
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22K16949
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴村 文那 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (10896989)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 糖尿病網膜症 / 細胞老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
1型糖尿病モデルとして知られるストレプトゾシン誘発糖尿病モデルを用いた。8週齢の雄性C57BL/6Jマウスを対照群・sham群・治療群の3群に分け、sham群と治療群にはストレプトゾシンを腹腔内注射し、一週間後の血糖測定で250mg/dL以上のものを糖尿病動物モデルとして使用した。また、糖尿病網膜症における細胞老化の影響を抑制するため、治療群には糖尿病発症1週間後から週2回、4週間にわたりGLS1阻害剤を250μgずつ腹腔内注射し、sham群には同量のPBSを腹腔内注射した。網膜機能評価として、糖尿病発症8週後と12週間後に網膜電図(ERG)を行った。また、senescence-associated secretory phenotypes(SASPs)として知られるIL-6、MCP-1ならびにINK4aの網膜内発現をreal-time PCR、ELISAで評価した。 その結果、体重減少や血糖上昇といった全身状態の変化はGLS1阻害薬投与の影響を受けなかった。また、ERGのb/a比は糖尿病発症8週間後も12週間後もsham群と治療群で有意差はなかった。一方、律動様小波については、8週間後には両群に統計学的な差を認めなかったが、12週間後には有意に改善した(p<0.05)。対照群に対して、MCP-1、INK4aはいずれもsham群で上昇したが、治療群では有意に改善した(いずれもp<0.05)。しかしながら、IL-6の発現についてはsham群と治療群の間に有意な差は認めなかった。 これらの結果を踏まえ、第127回日本眼科学会総会と2023年Fujiretinaにて一般講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
糖尿病モデルマウスの網膜内において、老化マーカーと言われているIMK4aの発現を確認できたことは大きいが、当初予定していた糖尿病患者サンプルでの解析でまだ結果が出ておらず、やや遅れていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書の通り、2年目の目標である老化細胞の同定と網膜機能低下の機序の解明、および1年目の目標のうちまだ解析できてないヒトサンプルを用いた実験を進めていく。
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Causes of Carryover |
1年目の目標のうち、糖尿病患者の検体を用いた解析が行えておらず、この実験に必要なPCRやELISAの試薬分が次年度使用額として繰り越されている。当初の2年目の目標に加えて、この解析も行う予定である。
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Research Products
(2 results)