2022 Fiscal Year Research-status Report
スフィンゴシン1リン酸受容体3を標的とした新しい角膜感覚神経の再生治療戦略の樹立
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22K16958
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
安田 慎吾 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (20772271)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 角膜三叉神経 / 角膜三叉神経障害 / S1P / S1PR3 / 眼創傷治癒 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、角膜では代表研究者がS1PR3は 上皮に強く発現され、その欠失マウスでは炎 症に伴う血管新生が抑制されることを報告し た(Yasuda S, et al. Lab Invest 2021)。 傷害された角膜上皮細胞は三叉神経の再生とともに渦巻き状に再生すると報告されている。 In vitro研究から感覚神経ではS1PR3はRho/ROCK活性化とCRMP2リン酸化を介してニューロ ンを退縮させることが報告されている。(Quarta S, et al. Front Mol Neurosci. 2017.)また脳梗 塞マウスモデルにおいてS1PR3阻害剤を投与することで神経学的欠損を抑制できるとの報告 もされている。(Bhakta P, et al. J Neuroinflammation. 2018.)さらにS1P/ S1PR3シグナルはニ ューロンの細胞膜TRPV1カルシウムチャネルを介して痛覚に関与していると報告(Rose ZH, et al. J Neurosci. 2018)されているので、神経再生を促進しつつも、角膜知覚が低下す れば、創傷治癒期間での痛みの治療にも有効である可能性がある。本研究として、マウス角膜のパラフィンブロック超薄切片を作成し、神経細胞マーカーであるTuj1とS1PR3を二重染色を行った。結果としてS1PR3はTuj1で蛍光された神経細胞に発現していた。つまりS1PR3は角膜三叉神経にも強く発現していることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、S1PR3の角膜における局在について確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
角膜上皮擦過モデルを用いて三叉神経再生におけるS1PR3遺伝子喪失の影響の検討として、 S1PR3欠失マウス(米国MMRRCから導入され、所属で使用中)および同一背景野生型 (C57BL/6)マウスに同様に全身麻酔後、角膜中央に2mm径の角膜擦過除去を作成する。 この モデルでは24時間程度で角膜上皮は再生するため、創作成直後、6時間後、12時間後、18時 間後、24時間後、30時間後でフルオレセイン染色施行後の角膜上皮剥離面積を観察し比較検 討を行う。またコシュボネ型角膜知覚計を用いて三叉神経知覚閾値を測定する。三叉神経再 生は角膜上皮再生より遅れて行われるため創作成直後、6時間後、12時間後、1日後、2日後、 3日後をタイムポイントとする。形態学的な神経再生の程度の観察は生体マウスの前眼部観察では評価困難であるため、創作成直後、6時間後、12時間後、1日後、2日後、7日後のマウ スを屠殺し、角膜のホールマウント標本を作成しTuj1抗体蛍光免疫染色で両群マウスの間で、 神経再生の程度に差があるかを検討する。角膜上皮細胞欠損修復過程での細胞増殖をBrdU染 色を用いて角膜中央部と輪部に分けて陽性細胞をカウントする。各種創傷治癒関連因子や神 経ペプチド群は、所属の既報での評価対象に倣って、免疫組織科学やreal-time RT-PCRで評 価する。後者では内因性GAPDH mRNA発現をもとにApplied Biosystem社△△Ct法で解析し、 Tukey-Kramerテストで統計処理を行う。
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Causes of Carryover |
実験計画遂行にあたり当教室の在庫試薬を使用できたため計画より使用額が少なかった。
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