2022 Fiscal Year Research-status Report
網膜神経節細胞の樹状突起再生による新規治療法の開発
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22K16961
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
北村 裕太 公益財団法人東京都医学総合研究所, 疾患制御研究分野, 研究員 (90868259)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | TrkBシグナル / 神経保護 / 網膜神経節細胞 / 樹状突起 / 軸索再生 / 緑内障 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者らは、代表的な神経栄養因子の一つである脳由来神経栄養因子(BDNF)の受容体であるTrkBに着目し、緑内障モデルにおける神経保護および軸索再生の研究をこれまでに行ってきた。また、TrkBシグナルを常時活性化する分子を独自に開発し、アデノ随伴ウイルスベクター(AAV)を用いた遺伝子治療により、視神経障害モデルおよび正常眼圧緑内障モデルにおいて網膜神経節細胞(RGC)の神経保護および軸索再生を誘導することに成功し、その成果を国際科学雑誌であるmolecular therapyに報告した(2023年3月)。さらに、成熟個体のRGC特異的にTrkBを欠損させると、比較的急速にRGC細胞死が誘導されることを見出した。本研究では、成熟網膜におけるTrkBがRGC樹状突起の維持や細胞体の生存に果たす役割を、特にエネルギー代謝異常に注目して解明することを目指した。その結果、RGC細胞死に先行して、RGC樹状突起の退縮や網膜機能低下、軸索変性を示唆する所見を得た。さらに、RGC subtype別の比較を行ったところ障害耐性が高いことで知られているαRGCが最もTrkB欠損による細胞死を引き起こすことを明らかにした。また、RGC細胞死が誘導されるメカニズムとして、ミトコンドリアの動態に着目し、ミトコンドリアに結合する蛍光タンパクのAAVベクターを活用して、RGC樹状突起内部のミトコンドリア分布を3Dイメージで可視化したところ、RGC細胞死が誘導される前に樹状突起内部のミトコンドリア数が有意に減少することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験手技の確立にやや時間を要している。現在成熟期に網膜内のTrkBが減少するとなぜRGC樹状突起が細胞死に先行して変性するのかという課題に対して特にミトコンドリアやエネルギー代謝に注目し解析途中である。
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Strategy for Future Research Activity |
エネルギー代謝との関連に着目し、RGC樹状突起及び網膜内の軸索内のミトコンドリアを可視化し、in vivo imagingによりミトコンドリアの動的変化を観察する手技の確立を目指したい。また、ミトコンドリア障害モデルとしてミトコンドリア阻害薬であるロテノンを用いて同様の病態が再現されるか検討している。
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Causes of Carryover |
実験器具等の消耗品節約に努めたために 次年度使用額が発生した。
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Research Products
(2 results)