2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K16966
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
後沢 誠 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 助教 (80897158)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 強膜内陥術 / シミュレーション / 構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
3D CAD(Computer Aided Design)ソフトを用いて、患者MRI(Magnetic Resonance Imaging)画像から抽出した3D眼球の変形・修正、および強膜内陥術において用いられる強膜バックリング材の作成を行い、作成した3D眼球と3D強膜バックリング材を構造解析ソフトにインポートし、材料定数や拘束条件、摩擦係数などの解析条件を設定した後、強膜にバックリング材を縫着した場合の眼球形状変化をシミュレーションするシステムの開発を行った。その結果、強膜バックリング手術による眼球形状変化は手術前の眼球形状、バックリング材の形状や縫着部位、および強膜内陥の程度などによって影響されることが明らかとなった。さらに、構造解析を応用すれば強膜内陥術による眼球の局所的な変形を定量的にシミュレーションできることも明らかとなった。 過去に正常眼球モデルを用いて強膜バックリング手術を再現した報告は存在するが、今回の我々の研究では、実際の患者の眼球形状を用いて構造解析を行っている点で非常に意義深い。これまで強膜バックリング手術による眼球形状変化は、正常眼球モデルを用いた研究や、過去の臨床試験のデータなどから予測されていたが、実際の眼球形状は患者ごとに大きく異なり、さらに実臨床においてバックリング材の選択や内陥の程度などは術者の経験や技量によって左右されることが多いため、術後の眼球形状変化を症例ごとに定量的に予測することは困難であった。しかし今回開発したシミュレーションシステムは、術前に得られた患者自身の眼球形状をもとに、強膜バックリング手術による眼球形状変化を定量的に予測することを可能とするものであり、術後の眼軸長や屈折値、惹起乱視などの眼球パラメータをより正確に予測することが期待でき、より良い術後視機能獲得へ寄与できる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究当初は3D CADソフトのsculptモードを用いて強膜バックリング手術を再現していたが、この方法は眼球の材料定数を考慮しておらず、強膜バックリング手術を再現する上で正確性に欠けると判断し、研究開始から半年ほど経過した時点で構造解析を応用して強膜バックリング手術を再現する方針に変更した。その結果、現在までの進捗状況はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は、開発した「構造解析による強膜バックリング手術のシミュレーション」の論文化を目指す。論文化されたら、個々の症例において強膜バックリング手術を再現した眼球モデルを用いて、粒子法による流体解析を行い、結果を論文として報告する。その後は予定通り流体・構造連成解析を進める。
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