2022 Fiscal Year Research-status Report
Rhoキナーゼ阻害薬による上皮幹細胞に注目した神経麻痺による角膜症の新規治療戦略
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22K16979
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
高田 幸尚 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (70647495)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 神経麻痺性角膜症 / ROCK阻害薬 / TRPV4 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経麻痺性角膜症モデルマウスはTRPV4の発現低下など角膜上皮創傷治癒においてTRPV4欠失マウスと類似の傾向を示すことを当教室から発表している(Okada Y, et al. Lab invest. 2018)。今年度は動物実験室の空調工事があり、神経麻痺性角膜症モデルマウスを作成、飼育が困難な状況であったため、TRPV4欠失マウスを用いた実験系から開始した。 TRPV4欠失マウスに角膜上皮欠損を作成し、Rhoキナーゼ阻害薬Y27632の点眼による創傷治癒に与える影響を検討した。角膜上皮欠損作成直後および6時間毎でRhoキナーゼ阻害薬Y27632の点眼行ったところ、PBSを点眼したコントロール群と比して有意に創傷治癒の促進がみられた。このことから、Rhoキナーゼ阻害薬Y27632は神経麻痺性角膜症の治療の一助となる可能性が示唆された。 また、角膜上皮培養細胞を用いた実験系(アラマーブルーアッセイ法)で、TPPV4アンタゴニスト存在下にRhoキナーゼ阻害薬Y27632を追加することで、有意な細胞増殖の亢進がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
神経麻痺性角膜症に対する治療はこれまで対処療法しかなかった。しかし、今回の検討結果から、神経麻痺性角膜症モデルマウスと角膜上皮創傷治癒において同様の傾向を示すTRPV4欠失マウスに対して、Rhoキナーゼ阻害薬Y27632が角膜上皮創傷治癒に有効である可能性を見出すことができた。また、Rhoキナーゼ阻害薬Y27632は角膜上皮培養細胞で細胞増殖亢進作用があることは既報から確認されていたが、今回のの実験から、TPPV4アンタゴニスト存在下であっても、Rhoキナーゼ阻害薬Y27632の細胞増殖亢進作用を確認できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
角膜上皮培養細胞ではTPPV4アンタゴニスト存在下であっても、Rhoキナーゼ阻害薬Y27632の細胞増殖亢進作用を確認できた。また、神経麻痺性角膜症モデルマウスと角膜上皮創傷治癒において同様の傾向を示すTRPV4欠失マウスに対して、Rhoキナーゼ阻害薬Y27632が角膜上皮創傷治癒を促進したため、創傷治癒のフェーズで増殖が関与していたか角膜輪部および中央部に分けて、検証を行っていく。さらに、同実験系で角膜上皮創傷治癒後の角膜知覚をRhoキナーゼ阻害薬Y27632点眼群とPBS点眼のコントロール群で比較を行っていく。
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Causes of Carryover |
本年度は免疫染色など費用のかかる検討が少なく、予定額よりも少なかった。次年度以降で免疫染色などを行っていく予定であり、予算を繰り越して使用する予定である。
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