2023 Fiscal Year Annual Research Report
Impact of eyeball shape in the risk for retinal diseases
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22K16981
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
南 早紀子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任講師 (20387020)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 加齢黄斑変性 / 眼軸 |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢黄斑変性(age-related macular degeneration; AMD)は50歳以上の約1%が罹患するとされる失明疾患で、網膜の中心である黄斑に病変をきたし、中途失明疾患である。国内第4位、米国第1位の失明疾患であり、加齢に伴い進行するため、高齢化社会では社会問題となる。AMDの発症基盤には、喫煙やメタボリックシンドローム、光曝露などの眼局所における酸化ストレスが、網膜組織の最外層を構成する網膜色素上皮の老化を促進して老廃物等を蓄積させ、それに対する慢性炎症が起こり、さらに酸化ストレスが蓄積するという、長年の酸化ストレスと慢性炎症の悪循環がある。また硝子体は元来、網膜に接しているが、加齢とともにコラーゲン部分と水分が分離・変性し収縮するため、網膜に物理的牽引をかけることが知られる。 一方、脈絡膜血管からは元来、網膜に対して栄養素や酸素を核酸により供給するが、その制御が障害されれば、滲出性変化や代謝異常やそれに伴う沈着物の蓄積をきたしうる。すなわち、眼軸長による硝子体‐網膜‐脈絡膜の構造が加齢性変化の進行度の違いやAMD病態と関連する可能性は高い。眼軸長に代表される眼球構造は網膜病態に影響しうる脈絡膜や硝子体の状態を変化させ、AMD病態関与する可能性は高いが、その詳細については不明の点が多い。 本研究では眼軸長による硝子体‐網膜‐脈絡膜の構造と加齢性変化の進行度、およびそれらとAMDの発症リスク・進行リスクとの関係を解析した。そして、AMD眼において脈絡膜の厚みは眼軸長と逆相関していること、AMDリスク眼においては脈絡膜毛細血管板の血流は低下しており、不均一になっていることを示した。さらなる研究によりAMDの病態の一端が明らかになれば、AMDの発症や進行の予測につながる画像によるバイオマーカーを確立する可能性があるといえた。
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