2022 Fiscal Year Research-status Report
組織拡張器(エキスパンダー)、人工脂肪、脂肪移植を併用した脂肪再生方法の開発
Project/Area Number |
22K16987
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
荻野 秀一 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (30782396)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 脂肪再生 / 脂肪移植 / 人工脂肪 / 皮膚拡張 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在行われている乳房再建は、主に自家組織移植、人工物(シリコンインプラント)埋植、脂肪移植で行われるが、各々自家組織犠牲、人工物埋植による合併症、生着不良などの問題点がある。これらの問題点を解決する新たな治療方法の開発を行っている。現在までに生体内に留置すると細胞、細胞成長因子を用いずとも脂肪に置き換わる吸収性材料(人工脂肪)を開発したが、脂肪形成が十分ではない。一方、脂肪移植の生着率向上のため、組織拡張器(エキスパンダー)による事前の皮膚拡張で空間を確保し、複数回内容量の減量と同時に脂肪移植を行う試みがされているが、その原理は解明されていない。本研究では、脂肪の形成効率を改善させるため、本研究では、エキスパンダー(事前の皮膚拡張)が及ぼす移植脂肪の生着率への影響を解明することと、人工脂肪の内腔維持・脂肪形成向上方法を開発することを目的とする。 前述した目的を達成するために、小動物(ラット)を用い下記の2つの実験を行う。一つ目の実験では、人工脂肪の内腔維持率の向上、早期の脂肪形成を促す方法として、in vivoでの人工脂肪と組織拡張、脂肪移植を併用した際の人工脂肪内腔維持期間、脂肪の再生について検討を行う。二つ目の実験では、組織拡張による皮下組織の血流変化、事前の皮膚拡張内腔維持による移植脂肪の生着率変化を検討する。 2022年度には、組織拡張により皮下組織血流の変化を検討し、組織拡張と脂肪移植併用モデルの検討を開始した。また、人工脂肪を用いたモデルでも検討を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
小容量(3mlほど)のエキスパンダーの国内販売はなく、輸入する予定であったが入手できなかった。そのため、シリコンブロックを用いることとした。皮膚拡張による影響の検討を行い、現在、皮膚拡張した後に脂肪移植を行うモデルの検討を行っている。また、人工脂肪を用いたモデルでも検討を開始した。滋賀医科大学の小動物飼育施設に寄生虫などが発生し、ラット実験を遂行することが困難となった。そのため、2022年夏から秋にかけて実験を進めることが困難であったため、当初予定より実験遂行に後れを認めている。
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Strategy for Future Research Activity |
エキスパンダーを皮下に留置すると周囲に被膜が形成される。ミニブタを用いた検討でエキスパンダー留置3か月後に人工脂肪へと置換すると、被膜が細胞侵入を妨げ、人工脂肪がほぼ脂肪に置換されなかった。そのため、本研究のエキスパンダー、人工脂肪、脂肪移植を併用した実験は、エキスパンダー使用群を除外し、人工脂肪移植単独群と人工脂肪と脂肪移植併用群で検討を行うこととした。皮膚拡張後に脂肪移植を行うモデルは、シリコンブロック埋植、脂肪移植を継続して行い、組織採取を行っていく予定である。また、脂肪移植の経時評価にMRI撮影が適していることが分かったため、評価項目に追加する予定である。今後、研究進達に応じ、その結果を学会発表、論文投稿にて報告する。
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Causes of Carryover |
ラット飼育施設での寄生虫などの発生により、実験の進行が遅れた。 2023年度に遅れた分のラット実験を予定より多く行う。
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