2023 Fiscal Year Research-status Report
ケロイド発生に細胞内シグナルタンパクは関与するか?ノックアウトマウスを用いた解析
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22K16992
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
右田 尚 久留米大学, 医学部, 講師 (80412518)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 肥厚性瘢痕 / ケロイド / 組織解析 / 電子顕微鏡 / 線維芽細胞 / マクロファージ / 細胞間接触 / 細胞内シグナル関連タンパク |
Outline of Annual Research Achievements |
ケロイド(Kd)は瘢痕が増悪・拡大し、肥厚性瘢痕(HS)では自然に消退する。明らかに予後が異なるにもかかわらず、Kd と HS は細胞組成がほぼ同じであり、線 維化の程度や経過が異なる原因は不明である。先行研究では、細胞のふるまいに着目して、1新型電子顕微鏡を用いたヒトKdとHS の三次元解析で線維芽細胞(Fb) およびマクロファージ(MΦ)の細胞間 接触形態に差異があること、2マウス皮膚培養Fb と腹腔内 MΦの共培養アッセイで Fb-M Φが頻繁に接触していること、3 共培養細胞のDNAアレイ解析では、Fb-MΦの接触によって、細胞内シグナル関連タンパク ICAM-1(intercellular adhesion molecule-1)および DDR2(Disocoidin Domain Receptor-2)の上昇の 3 点を明らかにした。しかし、(1)Kd/HS における Fb-MΦ細胞間接触に関わる ICAM-1/DDR2 発現との関連性、(2) ICAM-1/DDR2 の 上昇とFbの膠原線維産生能との関連性の 2 点が未解明であり、更なる問題点となった。本研究では、(a)ヒト Kd/HS 組織における ICAM-1 および DDR2 発現の 有無、(b)ICAM-1 and/or DDR2 タンパク合成遺伝子ノックアウト(KO)マウスを作製して背部皮膚欠損創の創治癒過程における Fb の膠原線維産生能の変化を解析 することの2つを目的とする。本研究によって、Fb の膠原線維産生能に Fb-MΦ細胞間接触が関与するのかを明らかにし、 Kd の病態メカニズムにつながる新知 見を得る。2022年度は、ヒトKd/HS 組織におけるICAM-1 および DDR2 発現の有無の解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナの影響で、瘢痕切除術自体の手術件数が減ったことでサンプルの入手が困難な状況であった。サンプル入手が困難なことで実験の進捗状況が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍が明け、少しずつ手術数もでてきたため、予定していた組織(n数)に到達するように組織解析と統計学的な考察を含め実験結果をまとめていく。
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Causes of Carryover |
研究の進捗が遅れたため、次年度使用額が生じた。また、利用していた研究室が使用出来なくなったため、研究を実施するにあたり、トランスファーピペット、パーソナルインキュベーター等を購入した。
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