2022 Fiscal Year Research-status Report
BIA-ALCLを誘導する炎症遷延メカニズムの解明
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22K16995
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
庄司 未樹 東北大学, 大学病院, 助教 (90645293)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 人工乳房 / BIA-ALCL / 慢性炎症 / パターン認識受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
乳癌患者の乳房再建手術や豊胸手術において主流となっているシリコン製の人工乳房は広く世界に普及している。しかし人工乳房に関連した合併症として被膜拘縮や近年ではブレストインプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(BIA-ALCLが問題となっているが、これらが発生する機序は解明されておらず、シリコンの表面形状に対する免疫応答の解明は急務である。 これまで人工乳房に対するマクロファージを中心とした免疫応答にはC型レクチン受容体(CLRs)下流のアダプター分子であるCARD9が関与し、textured typeシリコンにおいて炎症反応が遷延することを明らかとした。本研究ではこれらの反応に関わるCARD9よりさらに上流の受容体を特定することを目的とする。 C型レクチン受容体(CLRs)であるDectin-1、Dectin-2、MincleそれぞれのKOマウスを用いて、textured typeとsmooth typeのシート状シリコンを背側皮下に挿入し,textured type群とsmooth type群で被膜組織の厚さ、集積細胞などを含めた生体反応の相違について解析を行ったところ、Dectin-1、Dectin-2およびMincle1 KOマウスでは両群において明らかな有意差は認められなかった。この結果により、シリコンに対する反応はCLRs単独ではなく相互的に関与する可能性が示唆された。また、他のPRRsが関与する可能性も考慮し、解析を行う必要性があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的のひとつである、パターン認識受容体(CLRs) KOマウスにおけるシリコンに対する生体反応の解析として、CLRsであるDectin-1、Dectin-2 、およびMincleといった個々の受容体に対するtextured typeとsmooth typeシリコンにたいする生体反応の解析を行なっており、進捗状況としては概ね問題ないと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
C型レクチン受容体だけでなく、他のパターン認識受容体もターゲットとしてtextured typeシリコンとsmooth typeシリコンにおけるさまざまな生体反応の解析を行うことで、人工乳房周囲の被膜組織における炎症遷延化に関わる反応経路および受容体を明らかにする。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に進めたことにより発生した額であり、令和5年度請求額を合わせ、今後i vitroにおける解析などの研究遂行に使用する予定である。
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