2023 Fiscal Year Research-status Report
異常瘢痕形成メカニズム解明と予防法・治療法開発 ー日常生活動作の解析をもとにー
Project/Area Number |
22K16999
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
土肥 輝之 日本医科大学, 医学部, 講師 (10575385)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 異常瘢痕 / 日常生活動作 / 創傷治癒 / ケロイド / 肥厚性瘢痕 / メカノシグナル伝達経路 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの日常生活動作を中心とした力学的刺激は、ケロイド・肥厚性瘢痕といった異常瘢痕の大きな要因となっていることが分かってきた。日常生活での力学的刺激の影響を解明し、組織レベルおよびメカノシグナル伝達経路をはじめとした分子レベルでの適切な制御が、病的瘢痕の直接的な治療に繋がり、ひいてはScarless Wound Healingの達成へとつながると考え、本研究を実行している。 本研究では、①日常生活動作による各種力学的要素の変化を詳細に解析し、異常瘢痕形成に密接に関わる重要な力学的因子や動きを明らかにし、異常瘢痕予防のための全身の切開・縫合線の指標を確立すること、そして、②この実際に重要なこれらの力学的要素・変化に基づく異常瘢痕形成・増悪に重要な微小環境を網羅的に解析した上で、そこから見出した注目する細胞群や因子・シグナル伝達経路を検証し、異常瘢痕の分子機構の解明を目指すとともに、新規治療法を確立することを目的とする。 本研究から、顔と頸部の各種力学的要素の解析を行ない、異常瘢痕であるケロイドの分布との詳細な相関を解析し、日常生活に伴う皮膚のいくつかの力学的要素の変化の重要性が示唆された。 また、ケロイド病理組織検体を使った網羅的解析から、注目する因子が判明し、現在in vitro実験を進めているところである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全身のヒトの皮膚・皮下の力学的要素・解剖学的特徴の解析および病的瘢痕の力学的要素の解析を順次行っており、現在は、ケロイドの最も好発部位である胸部の解析および肥厚性瘢痕の好発部位の解析を順次行っているところであるが、やや時間を要している。 ケロイド検体での網羅的解析は終了し、現在検体を用いた検証およびin vitro実験を行っているところであるが、最適化に時間を要している。
|
Strategy for Future Research Activity |
全身の異常瘢痕の詳細な発生分布と各種力学的要素の定量解析に関して、現在順次進めていく。 また、網羅的解析結果から見出した注目する細胞群や因子について、in vitro実験を進めており、病態解明や新規治療法の開発につなげていく。
|
Causes of Carryover |
現在in vitro実験におけるヒトの皮膚の環境の再現に時間を要しているが、最適化は進んでおり、次年度も継続して進めていく。
|