2023 Fiscal Year Research-status Report
細胞構成の精密解析で見える新しい味蕾像:前駆細胞の分化状態と供給量変動の解明
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22K17005
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
小柳 江梨子 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (20791700)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 味蕾 / 味覚障害 / 細胞分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
味蕾を構成する細胞は、味孔まで伸長する成熟細胞(I, II, III型細胞)とその前駆細胞で未分化な細胞(IV型細胞)に分類される。味蕾細胞は、上皮由来で皮膚の細胞のように、短い周期で置き換わる。味蕾細胞が置き換わりながらも、私たちがいつも同じように味を感じられるのは、細胞の置き換わりで失われた細胞と同じ機能を持つ細胞が幹細胞から味蕾に供給されるからであると考えられてきた。これまでに、1)味蕾幹細胞は味蕾周囲にあること、2)幹細胞が分裂し、最終分裂を終えた細胞が味蕾に供給され、味蕾基底部でSonic Hedgehog(Shh: 細胞増殖・分化誘導因子)を発現するIV型細胞になること、3)Shh(+)細胞が I, II, III 型細胞に分化し成熟細胞となることが示されている。しかし、各味蕾に未分化な細胞であるShh(+)細胞がいくつ含まれ、成熟細胞との比率はどのようになっているのか、味蕾の成熟分化がいつ、どのように開始し、I, II, III 型細胞となるのか、その詳細は不明であった。 そこで、1)口腔上皮のホールマウント免疫染色を行い、各味蕾のShh(+)細胞の数と分布の解析、2)ホールマウント免疫染色で細胞型分化を制御する転写因子の検出を行なった。研究開始当初は、免疫染色の検出感度が低く、固定や抗原賦活化の条件検討に時間を要した。しかし、多くの検討を経て検出感度を上げることに成功し、現在は再現性がある解析が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
口腔上皮のホールマウント免疫染色を行い、各味蕾のShh(+)細胞の数と分布、2)ホールマウント免疫染色で細胞型分化を制御する転写因子の検出を行なった。研究開始当初は、免疫染色の検出感度が低く、条件の検討に時間を要した。しかし、多くの検討を経て検出感度を上げることに成功し、現在は再現性がある解析が可能となった。 また、産休育休に伴う研究の一時中断が生じた。延長申請を行い、次年度も引き続き本研究を行うことにした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、確立したホールマウント免疫染色法を用いて、各味蕾のShh(+)細胞の数と分布、細胞型分化を制御する転写因子の検出を行い、味蕾細胞の置き換わりの詳細を明らかにし、論文にまとめる。
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Causes of Carryover |
産休育休による研究の一時中断があった。また、物品費等を別予算で賄うことができたので、差額が生じた。 次年度の組織解析試薬の購入費等にあてる予定である。
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