2023 Fiscal Year Annual Research Report
ラット粘性嫌悪条件付け試験を利用した口腔内触覚受容機構の解析
Project/Area Number |
22K17006
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
中富 千尋 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (80878273)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 粘性テクスチャー認知 / 食感認知 / 嫌悪学習試験 / 嗜好学習試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
テクスチャー受容・認知を明らかにするためには、味や匂いなどの影響を排除した動物実験系が必要であることから、前年度はラット嫌悪条件付け学習を用いた粘性認知試験を確立し、英文誌に発表している。本年度は、粘性テクスチャーの付与が他のテクスチャー(粒子性)認知に与える影響を検討した。 粒子性は粘性と異なり、ラットにて嫌悪条件付けを成立させることができなかった。そこで、グルコースを用いた嗜好学習試験にて粒子性認知を確認した。ラットはグルコースとフルクトースを繰り返し呈示すると、グルコースに対する嗜好性を獲得するが、グルコースと組み合わせたフレーバーに対して嗜好学習が成立する。これを利用し、グルコースと粒子を組み合わせることで、粒子への嗜好学習成立により粒子性認知を評価した。その結果、ラットはおよそ1.5 μmの微細粒子(微結晶セルロース粒子)の存在を認知した。ここで、粒子懸濁液にカルボキシメチルセルロースにて粘性を付与したところ、1.5 μm粒子の認知は認められなかった。この結果は、粘性テクスチャーが粒子性テクスチャー認知閾値を上昇させるという過去のヒトでの報告に一致している。 食品テクスチャーには、粘性、粒子性、硬さや弾力性等様々な種類が存在するが、本研究結果から、複数のテクスチャーが共存した場合は、各テクスチャーがそれぞれを抑制または増強し認知される可能性が示唆された。
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