2022 Fiscal Year Research-status Report
筋腱接合部筋内腱の形成・維持機構におけるSox9の新たな機能の解明
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22K17007
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
廣内 英智 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (00822537)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 筋腱接合部 / Sox9 / 筋内腱 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者における顎関節など関節部の機能低下は、筋組織の加齢変化だけでなく筋-腱接合部という筋と骨の連結部における構造破壊によることも多い。申請者は大学院および、その後の研究で「筋-腱-骨複合体」の特異な形態形成過程を明らかにしてきた。そして「筋-腱接合部の筋束断端部には筋内腱が存在し、この筋内腱が筋組織と骨組織連結の要となり、その形態構造維持にSox9が重要な役割を担う」という新たな視点の仮説を立脚するに至った。 「筋-腱-骨複合体」の恒常的な連結を維持するために必要な筋内腱をつくる細胞の供給源は、腱芽細胞と筋幹細胞の遊走と形質転換であると申請者のこれまでの研究成果および学術的背景から考えているが、筋内腱の形態形成の制御機構については分かっていない。 本研究では、筋内腱の細胞供給先の特定と形成メカニズムを解明するため、具体的には「腱芽細胞だけでなく筋幹細胞の一部が筋束断端部に恒常的に遊走し、腱細胞への分化によって筋内腱が形成され、その形態形成および形態維持にはSox9が関与する」という仮説を立証することを本申請課題の目的とする。 本年度は運動器の要となる筋腱接合部について検索し、「筋腱接合部の強固な連結」にとって重要な筋束断端の“筋内腱”の形成過程について検索した結果、(1) 筋内腱は神経堤細胞由来であり、Wnt1+筋線維芽細胞が筋内腱まで伸長している。(2) 胎生14日齢マウスの筋内腱はSox9の軽度の発現を認めた。という2点について明らかにすることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年に計画していた研究計画は、実績の概要に記載の通り研究結果が出て、論文としての骨格も作ることが出来たため、「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果より申請者は、『筋線維芽細胞が集積し筋内腱を形成する為にはSox9の機能が不可欠である』という仮説を立脚するに至り、本申請期間内にこの仮説を証明することを次年度の研究目的とする。この仮説を明らかにするための主な方法として、下記の実験を計画している。 胎生期において時期特異的にSox9をノックアウトする為にWnt1CreER ; Sox9fl/+マウスを作出する。筋内腱発生時期の胎生15日にタモキシフェンを投与後、胎生18日にて採取摘出し、胎児を安楽死させる。また、筋内腱形成時期である胎生18日にタモキシフェンを投与し、新生児を安楽死させる。胎生15日投与群では筋内腱が低形成もしくは欠失し、胎生18日投与群では筋内腱が正常に発達していれば、筋内腱の形成に転写因子であるSox9の機能が不可欠であることが証明できる。
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Causes of Carryover |
業者の納品が遅れたため。
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