2023 Fiscal Year Annual Research Report
補体とTh17細胞のクロストークから導く歯周病態の解明と新規治療コンセプトの検討
Project/Area Number |
22K17014
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
井手口 英隆 岡山大学, 歯学部, 博士研究員 (80779421)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 補体 / Th17 / 歯周炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では歯周組織における補体経路の活性化からTh17細胞の発生に至る一連の免疫学的連鎖反応を詳細に解析するために、絹糸結紮歯周炎マウスを用いて,歯周炎組織を様々な条件下で免疫学的に解析することで,補体とTh17細胞の相関関係と,それぞれの依存度を検討した。 本研究の最終年度は、歯周炎組織における補体経路の活性に起因したIL-6の産生細胞の特定を検討した。まず、補体経路の分解産物であるC3の遺伝子欠損マウスを用いて,絹糸結紮歯周炎マウスを作製して歯周炎組織の解析を行った。その結果、C3の遺伝子欠損マウスにおける歯周炎組織では歯肉上皮細胞からのIL-6の分泌が抑制されることがわかった。また、同様の条件における歯周炎組織ではTh17細胞の数は著しく減少し、歯槽骨の吸収が抑制されることが明らかとなった。健常マウスの歯周組織から採取して培養した歯肉上皮細胞にC3タンパク質を添加すると、培養上清中にIL-6が多量に分泌された。すなわち、歯周炎組織において、補体活性に起因したIL-6の主な産生細胞は歯肉上皮細胞である可能が高い。 本研究全体を通して、歯周組織における補体経路は細菌感染によって活性化されて、補体経路の分解産物であるC3は歯肉上皮細胞に直接的に作用してIL-6の分泌を促進することがわかった。さらに、歯肉上皮細胞から分泌されたIL-6は歯周炎組織におけるTh17細胞の分化を促進してその数を増加させることで、破骨細胞の分化と融合を促進し、歯槽骨の破壊に強く関与する可能性が示唆された。
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