2022 Fiscal Year Research-status Report
口腔癌の腫瘍実質-間質連関におけるTRPシグナル活性化メカニズム解明と臨床応用
Project/Area Number |
22K17017
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田尻 祐大 九州大学, 歯学研究院, 共同研究員 (30820659)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 口腔癌 / p63 / MAPK / 扁平上皮癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、口腔扁平上皮癌(OSCC)において、TRPV4シグナルが細胞外環境(間質)により異常活性化するメカニズム(発現制御機構と活性化ドメイン)の解明とその機能抑制を目的としている。令和4年度には以下の研究結果を得た。 ①構築したYAPシグナルを活性化する実験系を用いて、TRPV4発現制御機構に関する検討を行った。②OSCC病理標本(非腫瘍部、上皮性異形成/上皮内癌、浸潤癌を含む)における遺伝子発現について、DNAマイクロアレイ法を用いて網羅的に検討した。その結果、非腫瘍部、上皮性異形成/上皮内癌、浸潤癌において段階的に発現が上昇する遺伝子を73個、非腫瘍部、上皮性異形成/上皮内癌において発現が上昇する遺伝子を295個、非腫瘍部、上皮性異形成/上皮内癌、浸潤癌において段階的に発現が減少する遺伝子を100個、非腫瘍部、上皮性異形成/上皮内癌において発現が減少する遺伝子を476個単離した。また、それぞれの遺伝子を用いてGene Ontology解析を行なった。その結果、上皮性異形成/上皮内癌において発現が上昇する遺伝子としてp63が含まれており、また、上皮性異形成/上皮内癌においてMAPKが活性化していることが示唆された。83症例のOSCC標本を用いて免疫組織化学または蛍光抗体法を用いて検討したところ、p63は上皮性異形成/上皮内癌において非腫瘍部と比較して発現上昇しており、また、浸潤癌部においてERKのリン酸化および新規癌遺伝子ARL4Cの発現が亢進していた。OSCC細胞株を用いた検討から、ARL4Cの発現はp63とMEK/ERK-MAPKにより協調的に発現制御されていることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
OSCC病理標本(非腫瘍部、上皮性異形成/上皮内癌、浸潤癌を含む)における遺伝子発現について、DNAマイクロアレイ法を用いて網羅的に検討した。その結果、非腫瘍部、上皮異形成/上皮内癌、浸潤癌において発現が変動する遺伝子を944個単離し、また、それぞれの遺伝子を用いてGene Ontology解析を行なった。その結果、p63は上皮性異形成/上皮内癌において非腫瘍部と比較して発現上昇しており、また、浸潤癌部においてERKのリン酸化および新規癌遺伝子ARL4Cの発現が亢進していた。OSCC細胞株を用いた検討から、ARL4Cの発現はp63とMEK/ERK-MAPKにより協調的に発現制御されていることを見出した。この結果、少なくとも口腔扁平上皮癌の腫瘍形成の過程において、多段階的にp63とMEK/ERK-MAPKが活性化することを明らかにした。病理組織化学的に、OSCCは上皮性異形成/上皮内癌、浸潤癌と進展することが知られているが、その分子基盤は不明であった。本研究の結果、口腔扁平上皮癌の腫瘍形成の過程において、多段階的に遺伝子異常が蓄積されることが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
OSCC病理標本(非腫瘍部、上皮性異形成/上皮内癌、浸潤癌を含む)における遺伝子発現について、DNAマイクロアレイ法を用いて網羅的に検討した結果発現変動した944個の遺伝子、また、Gene Ontology解析により明らかとなったpathwayのOSCCの腫瘍形成における役割、およびYAP/TAZシグナルおよびTRPV4シグナルの関係性について明らかにする。OSCC細胞株やOSCC標本における免疫染色によって解析することを計画している。
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Causes of Carryover |
次年度に7,421円を繰り越し、物品費・消耗品費として使用するため。
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Research Products
(2 results)