2023 Fiscal Year Research-status Report
口腔の上皮内癌から微小浸潤癌の発症を再現するオルガノイド型培養系を用いた病態解明
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22K17030
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
嶋田 勝光 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (10782120)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 3次元培養 / 上皮内癌 / 微小浸潤 |
Outline of Annual Research Achievements |
気-液培養を応用した3次元培養系を用いて、各細胞種に対応した組織を構築した。初代培養歯肉由来の正常上皮細胞を用いた錯角化重層扁平上皮様組織、舌扁平上皮癌由来の癌細胞株(HSC-3, HSC-4)を用いた表層分化型・基底細胞型の上皮内癌様組織、アスコルビン酸添加もしくはコラーゲンゲルを併用した初代培養歯肉線維芽細胞を用いた線維性結合組織である。(1):錯角化重層扁平上皮様組織(14日後):傍基底細胞におけるKi-67陽性、基底細胞における少数のp53陽性を示した。CK13・CK17の陰性、CK19の基底層における陰性を示した。(2):表層分化型上皮内癌様組織(14日後):Ki-67陽性細胞の基底第一層への移行像、p53の完全消失を示した。CK13陰性、CK17一部陽性化、CK19の基底細胞様細胞での消失がみられた。(3):基底細胞型上皮内癌様組織(14日後):Ki-67陽性細胞は基底第一層へ移行および多層化、p53の陽性の多層化を示した。CK13陰性、CK17一部陽性化、CK19の基底細胞様細胞での消失が認められた。(4):線維性結合組織:アスコルビン酸添加培地では線維芽細胞を含む結合組織の層化が経時的に認められた。5層に達するに14日、6層に達するに18日、7層に達するに21日を要した。対して、コラーゲンゲルを使用した場合には15層の結合組織を4日間で構築できた。 その後、上記(1)~(4)を組み合わせた上皮組織-結合組織といった二層構造を有する口腔粘膜を模した3次元培養モデルの構築を試みている。一つ目は、錯角化重層扁平上皮組織-線維性結合組織を持つ正常組織モデルである。二つ目は、上皮内癌様組織-線維性結合組織を有する非浸潤型腫瘍組織モデルである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
舌扁平上皮癌由来の癌細胞株(HSC-3, HSC-4)を用いた表層分化型・基底細胞型の上皮内癌様組織は下部に細胞よりも小さい孔径を有するセルカルチャーインサートを位置づけることで、強制的に細胞が表層に向かって分化を示す組織構築が再現可能であった。しかし、上皮内癌様組織-結合組織といった二層構造の作成に際して、癌細胞株を構築した結合組織上に播種することで癌細胞が表層に向かって分化を示す前に浸潤をきたす可能性がある。 したがって、セルカルチャーインサートで作成した上皮内癌様組織の構築を保持したまま剥離し、結合組織上に位置付ける方法を考慮する必要が生じたため、計画が遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
上皮内癌-結合組織モデルを構築するため、上皮組織剥離法の検討および上皮内癌由来癌細胞の検索を並列して実施する。
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Causes of Carryover |
上皮内癌-結合組織を模した3次元培養系の完成に時間を要している。したがって、作成した上皮内癌様組織-線維性結合組織内の各細胞群からのRNA抽出試薬およびRNAシークエンス費用を含む次年度使用額が生じた。
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