2022 Fiscal Year Research-status Report
天然由来の菌特異的抗菌物質の応用による次世代型口腔ケアアプリケーションの開発
Project/Area Number |
22K17034
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
松岸 葵 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (70907386)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アリルイソチオシアネート / 歯周病 / 抗炎症作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周病の有病率を下げるには,患者の技術に依存せず簡便かつ効率的にバイオフィルムを制御する口腔ケアアプリケーションの開発が必要である。しかし,成熟したバイオフィルムは構造的に薬剤抵抗性を有するため既存抗生剤による除去は困難であり,薬剤耐性菌の出現も課題である。そこで本研究の目的は,天然由来抗菌物質アリルイソチオシアネート(AITC)の“成熟バイオフィルム除去作用”と“菌特異性”に着目し,歯周病予防・治療アプリケーションとしての有効性をIn vitroおよびIn vivoで明らかにすることである。AITCの浸透性と菌特異的抗菌活性によって,成熟バイオフィルムの効率的な除去と耐性菌出現の抑制が可能である。さらに,揮発性を利用した有効性の広範囲化と誤嚥リスクの低減が期待できる。これらの利点から,既存の歯周病予防・治療の代替・補助療法として,超高齢社会を迎えた本邦における次世代口腔ケアアプリケーションとしてのAITCの臨床応用を目指す。 R4年度は研究計画に従い,In vitroにおいてはAITCの抗菌活性や細胞為害性に加えて,抗炎症作用についても検討を行った。ヒト単球系細胞を用いて,歯周病原細菌由来LPS刺激に誘導される炎症性サイトカインの産生抑制作用を検討した。その結果,AITCの抗炎症作用が明らかとなった。さらに,In vivoにおいては歯周病モデルマウスを用いてAITCの歯周病抑制作用を検討し,歯槽骨吸収抑制作用を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に概ね沿って予定通りに研究が進行した。 現在までのデータとして,AITCは細胞為害性を認めず,LPSによって誘導される炎症応答に対する抑制作用が示された。また歯周病モデルマウスを用いた検討では,AITCによって歯槽骨吸収の抑制作用が認められた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの結果より,AITCの抗炎症作用による歯槽骨吸収の抑制が認められた。 今年度はAITCの抗炎症作用のメカニズムについて検討する。AITCは陽イオンチャネルであるTRPA1のアゴニストの一つである。TRPA1を介したAITCの抗炎症作用によって歯槽骨吸収が抑制されたという仮説のもと,実験を進める。 また,最終年度においてはこれらのデータをまとめ,論文作成の上,国際誌へ投稿予定である。
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Causes of Carryover |
今年度における動物実験に関わる費用が抑えられたため,次年度使用額が生じた。 次年度のマウス購入や動物飼育のための費用として使用する計画である。
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Research Products
(1 results)