2023 Fiscal Year Research-status Report
Study of functions and mechanism of Lipocalin2 in periodontal diseases
Project/Area Number |
22K17040
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
木戸 理恵 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (60876027)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | Lipocalin2 / 好中球様細胞 / 24p3R / 蛋白質アレイ分析 / Porphyromonas gingivalis / IL-8 / 抗菌ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
リポカリン2(Lipocalin 2: LCN2)は免疫細胞や上皮細胞から産生される分泌型蛋白質である。歯周病や糖尿病などの疾患においてその発現レベルが増加することが知られている。そのためLCN2は、歯周組織の生理機能や歯周病病態に対して様々な作用を示すと推測されるが、その詳細は、未だ明らかでない。そこで本研究ではLCN2の歯周組織や歯周病への影響を検討するものである。 2022年度までに、歯周組織の複数細胞についてLCN2受容体である24p3Rの存在についてウェスタンブロット分析で検討を行った結果、ヒト好中球様細胞(分化HL-60: differentiated HL-60; dHL-60)に24p3R受容体のLongおよびShortの明確なバンドを認めた。そこで、リコンビナントLCN2(rLCN2)をdHL-60細胞に作用させてサイトカイン発現への影響を調べる予備実験を行ったが著しい変化は確認されなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度にLCN2受容体を有するdHL-60細胞をはじめ複数の歯周組織に関連する細胞へのLCN2の影響を検討する予備的な検討を行ったが、明確な変化が認められなかった。しかしながらLCN2の機能解明は、本研究の主題であるため2023年度は蛋白質アレイなどを用いてLCN2による受容体保持細胞の変化を包括的に検討した。その結果、24p3Rを有するdHL-60細胞においてIL-8が強く発現をしており、そのレベルはrLCN2により減少傾向が認められた。これらのLCN2機能の再検討のため、研究の進捗状況に若干の遅れが生じたが、研究の方向性を決めるために重要な過程であると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
LCN2受容体を有するdHL-60細胞について、rLCN2の及ぼす作用を中心にして研究を進める。すなわち蛋白質アレイの結果からrLCN2によるIL-8の遺伝子および蛋白質の発現と産生への影響をPCR法やELISAで検討を行う。また、同受容体を有さない線維芽細胞などへのrLCN2の効果と比較検討する。rLCN2の歯周病病態への影響を調べるため、P.gingivalis由来LPSによるIL-8発現の増加(予備実験で確認済み)に対するrLCN2の作用についてもELISA法にて検討する。またLCN2のsiRNAを用いて、dHL-60細胞培養系のLCN2量が減少した場合のdHL-60細胞のIL-8遺伝子発現に対する影響についても調べ、LCN2による同細胞でのIL-8発現への作用を確認する。さらに、蛋白質アレイの結果からIL-8以外の蛋白についてもLCN2により発現が変化する蛋白を検索する予定である。 2023年度に、LCN2のシグナル経路についても予備実験を行い、rLCN2によりERKのリン酸化が亢進する結果が得られたので、今後、シグナル経路の解明のためにNF-κBの関与についても検討を行う予定である。これらの結果をまとめ歯周病学会への発表や論文投稿を目指す。
|
Causes of Carryover |
2023年度は、2022年度から開始したLCN2受容体を有するdHL-60細胞においてrLCN2の及ぼす作用の確認を中心に行ったため、2022年度の購入した試薬、キットおよび器具類も使用した。そのために2023年度に計上していた予算に一部未使用額が生じた。 今後は、上記の「今後の研究の推進方策」で述べた実験を行うとともに、当初計画していたLCN2による好中球様細胞の細胞増殖、遊走性および細胞付着などへの影響について検討を行う予定であるため、翌年度分として請求した研究費と合わせて使用する。
|
Research Products
(2 results)