2022 Fiscal Year Research-status Report
歯小嚢に発現するlncRNAを介したIGFシグナル応用新規歯周組織再生療法の樹立
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22K17042
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
御手洗 裕美 九州大学, 大学病院, 助教 (60801660)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 歯根膜 / 歯根膜幹細胞 / IGF |
Outline of Annual Research Achievements |
歯胚発生期に着目してオミックス解析により、歯髄組織のオリジンである歯乳頭組織と比較して、歯根膜組織のオリジンである歯小嚢組織におけるIGFシグナル関連因子の発現が高いことを確認した。そのため、歯根膜発生・形成におけるIGF関連因子の発現と機能解析することで、歯根膜発生機構の一端を解明し、さらに歯根膜組織再生への応用を検討することを目的として、研究を進めた。 ヒト歯根膜幹細胞において、マウス歯小嚢組織で発現が高いIGF関連因子の遺伝子発現について半定量的ならびに定量的RT-PCRにて検討した。その結果、一部の遺伝子のみ発現が認められ、特に、あるIGF関連因子(因子X)の遺伝子発現が高いことを明らかにした。 そこで、マウス胎生18日齢の歯胚における因子Xのタンパク発現を確認するため免疫組織化学染色を行ったところ、因子Xがマウス歯小嚢組織に発現していることを明らかにした。 また、ヒト歯根膜幹細胞を各種条件で培養し、因子Xの遺伝子発現を定量的RT-PCRで解析した。まず、石灰化誘導培地でヒト歯根膜幹細胞の培養を行ったところ、因子Xの遺伝子発現が有意に減少した。次に、歯根膜関連因子の発現制御に重要な成長因子TGF-β1をヒト歯根膜幹細胞に添加すると、因子Xの発現が有意に上昇した。さらに、ヒト歯根膜幹細胞にメカニカルストレス(伸展刺激)を加えたところ、成長因子TGF-β1ならびに因子Xの遺伝子発現がコントロール群と比較して有意に上昇した。 これらのことから、IGF関連因子のうち、因子Xは咬合力などの機械的刺激を受け、石灰化が制御された歯根膜組織において重要な機能を有する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒト歯根膜幹細胞ならびにマウス歯小嚢細胞を用いた実験を計画していたが、マウス歯小嚢から得られた細胞の遺伝子発現が回収時期によって違いがあり、安定した実験結果を得られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト歯根膜幹細胞ならびにマウス歯小嚢細胞を用いて、それぞれの細胞における因子Xの機能解析を行う。前者に対してはsiRNA導入細胞ならびに過剰発現細胞を樹立して、歯根膜関連因子発現解析、石灰化誘導能への影響を解析する。後者に関しては、使用する細胞の遺伝子発現を安定化させるため、歯小嚢に特異的に発現する因子を用いてセルソーターで細胞を分離し、得られた細胞を実験に用いることで、安定した実験結果が得られるよう検討を行う。
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Causes of Carryover |
遺伝子過剰発現実験が開始できず、そのための試薬等の購入ができなかったため、使用額に差が生じた。次年度に開始予定である。
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[Journal Article] Actin alpha 2, smooth muscle, a transforming growth factor-β1-induced factor, regulates collagen production in human periodontal ligament cells via Smad2/3 pathway2023
Author(s)
Naati Fakatava, Hiromi Mitarai, Asuka Yuda, Akira Haraguchi, Hiroko Wada, Daigaku Hasegawa, Hidefumi Maeda, Naohisa Wada
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Journal Title
Journal of Dental Sciences
Volume: 2
Pages: 567-576
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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