2023 Fiscal Year Research-status Report
歯小嚢に発現するlncRNAを介したIGFシグナル応用新規歯周組織再生療法の樹立
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22K17042
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
御手洗 裕美 九州大学, 大学病院, 助教 (60801660)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 歯根膜 / IGFBP3 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯根膜発生・形成におけるIGF関連因子の発現と機能解析を行ってきている。前年度までに、IGF関連因子のうちIGFBP3(昨年の報告書で因子Xと表記)について、マウス胎生18日齢歯胚に発現し、ヒト歯根膜幹細胞を用いたin vivo実験において、メカニカルストレス(伸展刺激)によって成長因子TGF-β1ならびにIGFBP3の遺伝子発現がコントロール群と比較して有意に上昇すること、TGF-β1刺激下でIGFBP3発現が有意に上昇することを明らかにした。 ヒト歯根膜幹細胞にIGFBP3 siRNAを導入し、機能解析を行ったところ、IGFBP3の遺伝子抑制によって細胞形態が変化した。次にWST-1 assayならびにmigration assayを行ったところ、IGFBP3の遺伝子抑制によって細胞増殖能が促進し、細胞遊走能が抑制されることを明らかにした。また、TGF-β1により促進するコラーゲン産生能への影響を解析するためPicro-Sirius Red染色を行ったところ、コントロール群と比較してIGFBP3 siRNA導入群においてTGF-β1によるコラーゲン産生能が有意に抑制された。さらに、石灰化能への影響を解析するため、石灰化誘導培地下で培養しAlizarin Red-S染色を行ったところ、コントロール群と比較してIGFBP3 siRNA導入群において石灰化能が有意に抑制された。以上のことから、IGFBP3はヒト歯根膜幹細胞の細胞形態、増殖能や遊走能、さらにコラーゲン産生能や石灰化能といった各種分化能に影響を与えてることで、歯根膜組織の恒常性維持に関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
IGFBP3がヒト歯根膜幹細胞の増殖能や分化能に影響を及ぼす可能性を明らかにできたものの、シグナル解析や他因子の機能解析が途中であるため、さらなる解析が必要である。また、歯小嚢細胞へのsiRNA導入条件の検討中であり、実験計画よりやや遅れていると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
歯胚発生におけるIGFBP3の機能解析を行うため、歯胚器官培養時にIGFBP3 siRNA導入を行い、遺伝子解析ならびに形態解析を行う。同時にマウス歯小嚢細胞を用いたin vitro実験を行い、各種機能実験(増殖能、遊走能、分化能)を行う。 IGFBP3がヒト歯根膜幹細胞における増殖能、遊走能、分化能に影響を及ぼすシグナル解析を行う。さらびに、IGFBP3以外でヒト歯根膜幹細胞で強く発現している他IGF関連因子にも着目し、機能解析を進める。
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Causes of Carryover |
歯小嚢細胞を用いた遺伝子抑制実験条件確立に時間を要し、in vivo実験を含め、複数の関連因子の発現解析ならびに機能解析が滞っていたため。
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