2022 Fiscal Year Research-status Report
覆髄処置に対する白金ナノコロイドの新たなる応用方法の検討
Project/Area Number |
22K17044
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
勝俣 愛一郎 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 講師 (60779891)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 白金ナノコロイド / 覆髄 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はナノテクノロジーの保存修復分野への応用として白金ナノコロイドを使用し、最新の歯科材料への臨床運用を目標としている。また、本研究では健全象牙質に加えう蝕象牙質のシミュレーションとして人工脱灰象牙質を用い、研究期間内において覆髄処置に対する白金ナノコロイドの新たなる応用方法を検討する予定である。 その中で今年度は白金ナノコロイドの象牙質至適処理方法の検討として、健全象牙質と脱灰象牙質に対し、異なる5条件で3種類の市販されている覆髄剤に対しせん断接着試験を行った。5条件とは①白金ナノコロイド使用なし(コントロール)、②濃度100%白金ナノコロイドとリン酸の混和液(リン酸濃度85%)使用、③濃度1%白金ナノコロイドとリン酸の混和液(リン酸濃度85%)使用、④濃度1%白金ナノコロイド使用、⑤濃度100%白金ナノコロイド使用、であり、②~⑤の条件については覆髄剤を使用する前に前処理剤としてそれぞれを象牙質表面に塗布し、水洗乾燥を行った後に覆髄剤を使用した。3種類の覆髄剤はA:水酸化カルシウム系覆髄剤、B:レジン添加型MTAセメント、C:レジン非添加型MTAセメントである。せん断接着試験後には試料の破断面形態について実体顕微鏡による観察を行った。 その結果、健全象牙質に対するせん断接着強さは、使用したすべての材料においてコントロール条件①と比較し白金ナノコロイド使用群②~⑤は有意差を認めなかった。 一方脱灰象牙質に対するせん断接着強さは、材料A、Cにおいてコントロール条件①と比較し白金ナノコロイド使用群②~⑤は有意差を認めなかったが、材料Bにおいてコントロール条件①に対し④、⑤の白金ナノコロイドにリン酸を混和しない2条件は有意に低い値を示した。 破断面形態については健全象牙質・脱灰象牙質を問わずすべての条件において象牙質-覆髄剤の界面破壊であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度中に当初の研究計画通り、設定した各種条件に対するせん断接着試験による接着の評価ならびに破断面の形態評価を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
このまま予定通り次年度はマイクロビッカース硬さ試験による硬度の評価へと移行し、う蝕原生細菌に対する抗菌作用の評価・SEMを用いた接着界面評価・象牙質長期接着耐久性の検討へと研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
物品費およびその他経費が当初の計画よりもやや低めとなった。今年度に購入する予定であった物品が納期の都合で購入できなかったことなどが理由として挙げられる。当該物品については次年度に購入予定である。
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