2023 Fiscal Year Annual Research Report
非破壊試験及び固体NMR法をモダリティとしたフッ化スズ含有歯磨剤の根面齲蝕予防
Project/Area Number |
22K17047
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
柴崎 翔 日本大学, 歯学部, 助教 (70822633)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | フッ化スズ / 根面齲蝕 / 齲蝕予防 / 超音波透過法 / 固体核磁気共鳴法 |
Outline of Annual Research Achievements |
フッ化スズ含有歯磨剤の根面齲蝕抑制効果を把握することを目的として,超音波透過法およびヌープ硬さ(KHN)試験から象牙質に生じた質的変化を経時的に求めた。また,フッ化スズ含有歯磨剤を根面象牙質に作用させた際に生じる化学的組成変化を固体NMR法を用いて定性した。 フッ化スズ含有歯磨剤(ST)およびフッ化ナトリウム含有歯磨剤(SO)を用いて,一日2回,28日間ブラッシングを行った。精製水でブラッシングを行なったものを,コントロールとした。超音波およびヌープ硬さの測定については,実験開始時,7, 14, 21および28日目に行った。また,試験開始および試験終了後の試片表面のSEM観察および元素分析を行った。固体NMR法による化学的定性では,フッ化スズ含有歯磨剤を応用した牛歯歯根部象牙質の粉体を専用試験管に填塞,固体NMR装置を用いて核種19Fおよび31Pから測定試料のスペクトルを得るとともに,レファレンスのスペクトルとともに分析することでフッ化スズによって形成されたフッ化合物とハイドロキシアパタイトの化学的定性を行った。 その結果,ブラッシング期間の違いにかかわらず,いずれのブラッシング条件においても試片を伝搬する音速に有意差は認められなかった。一方,KHN試験の結果からは,いずれのブラッシング条件においてもブラッシング期間の延長に伴ってヌープ硬さは低下したものの,試験終了時ではSTは他のブラッシング条件に比較して有意に高いKHNを示した。SEM観察の結果からSTおよびSOでは細管内に結晶物が存在し,細管の封鎖が観察された。また固体NMR法による化学的定性ではFAPもしくはFHAP由来と推定されるピークが観察されたが,CaF2との識別は困難であった。本実験の結果から,フッ化スズ含有歯磨剤の有する根面齲蝕予防効果は,フッ化ナトリウム含有歯磨剤と同等以上の効果を示す可能性が示唆された。
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