2023 Fiscal Year Research-status Report
歯根膜欠損部に対する歯周組織再生を目的とした歯髄幹細胞を用いた新規治療法の開発
Project/Area Number |
22K17048
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
小柳 圭史 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (10908289)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 歯髄幹細胞 / 歯根膜 / 歯周組織 / 再生療法 / 歯根破折 |
Outline of Annual Research Achievements |
脱臼歯の再植や意図的再植には、正常な歯根膜とセメント質の介在が望まれ、実際に歯根膜の汚染やdebridementにより歯根膜が欠損した歯では、外部吸収、骨性癒着、置換性歯根吸収が生じる。これらの事象の回避には歯根膜様組織の再生が必要とされる。また、近年では歯根破折歯の接着法が行われるようになったが、破折線面の歯根膜欠損にも同様の事象が生じる可能性がある。そこで、本研究では、多機能細胞への分化が可能な歯髄幹細胞を使用し、異なる作製方法による三次元培養組織を付着させた場合のセメント質、歯根膜様組織の再生について検証し、新たなアプローチによる治療法の開発を目的とする。 ヒト歯髄幹細胞、歯根膜細胞の獲得を行い、共培養およびヒト抜去歯ディスクをSEMや切片による象牙細管の状態の確認後、歯髄幹細胞をヒト抜去歯ディスク上にて培養を行い最適な薬液処理の検索を行っている。また、上記細胞を用いて三次元培養組織の構築を行い、免疫不全マウスに全身麻酔を施し、背部皮下組織に歯髄幹細胞および歯根膜細胞をコラーゲンゲル応用の三次元培養組織および、多層化細胞シートによる作製を行った異なる二つの三次元培養組織をそれぞれ貼付したヒト抜去歯ディスクを埋入し、歯質表面および三次元培養組織、周囲組織の経時的変化について病理組織学的に検索を行っている。同様に免疫不全ラットを使用し、全身麻酔下にて上顎左右大臼歯を抜去後その抜去歯を用い、歯根膜欠損モデルの製作を行い三次元培養組織を付着させ病理組織学的に検索を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
三次元培養組織の構築、歯根膜欠損モデルの製作に際して、当初予想し得なかった新たな知見が得られたことから、その知見を使用し十分な研究成果を得るために、当初の研究計画に変更が生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト抜去歯から歯髄細胞および歯根膜細胞の獲得を行い、共培養およびヒト抜去歯ディスクをSEMや切片による象牙細管の状態の確認後、歯髄幹細胞をヒト抜去歯ディスク上にて培養を行い最適な薬液処理の検索を行う。 その後免疫不全マウスに全身麻酔を施し、背部皮下組織に歯髄幹細胞および歯根膜細胞をコラーゲンゲル応用の三次元培養組織および、多層化細胞シートによる作製を行った異なる二つの三次元培養組織をそれぞれ貼付したヒト抜去歯ディスクを埋入し、歯質表面および三次元培養組織、周囲組織の経時的変化について病理組織学的に検索を行う。同様に免疫不全ラットを使用し、全身麻酔下にて上顎左右大臼歯を抜去後、歯根膜欠損モデル抜去歯を用い、三次元培養組織の付着をし、病理組織学的に検索を行う。
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Causes of Carryover |
三次元培養組織の構築、歯根膜欠損モデルの製作に際して、当初予想し得なかった新たな知見が得られたことから、当初の研究計画を変更する必要が生じため予定よりも遅れている。また、本年度の研究に必要な消耗品および機材に関して予定より少額で賄えたため。次年度は動物実験のため消耗品が多く必要となり、研究成果発表も行うことが予想されるため、次年度研究費(物品費)とあわせて使用する計画である。
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