2022 Fiscal Year Research-status Report
フィブリンゲルによるM2マクロファージ誘導機構の解明と根尖歯周組織再生への応用
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22K17064
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
相原 良亮 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (60886711)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | フィブリンゲル / マクロファージ / 骨再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
根尖歯周組織に対する感染・炎症の拡大によって生じた根尖部骨欠損は、その直径がクリティカルサイズ(10 mm) を超えると治療しても瘢痕化しやすいことが知られている。これまで、根尖歯周組織骨欠損部の再生誘導を目的として、各種細胞の足場となる再生医用材料の応用が注目されてきた。一方、組織再生を誘導する上で局所に生じている炎症の制御が不可欠であることが知られている。骨欠損が生じている局所の状態を炎症応答が亢進しているステージから組織再生可能なステージへと移行させなければ、再生医用材料を欠損部局所に埋入しても組織は再生されない。近年、フィブリンゲルによって、炎症応答におけるM1マクロファージ優位の状態から組織再生に重要な役割を果たしているとされるM2マクロファージ優位の状態に誘導されることが報告されている。本研究の最終目標は、再生医用材料を適確に機能させるため,M2マクロファージを誘導するフィブリンゲルを用いて、骨欠損部における炎症優位な状態から組織再生可能な状態に局所環境を転換する方法の確立である。 研究実施計画としてまず、フィブリンゲルと各種細胞(マクロファージ、象牙芽細胞、歯根膜細胞、骨芽細胞、セメント芽細胞)を共培養した際の影響などに関しては細胞数が多すぎるためそれぞれ結論には至っていないが、象牙芽細胞のcell lineを用いた結果ではフィブリンゲルと共培養しても細胞に影響がない傾向が見られた。これからは上記細胞群でRNA-seqを行う予定である。次にマウス頭蓋骨欠損モデルマウスを用いた実験では、骨欠損部位にフィブリンゲルを入れた群の方が何も入れない群よりも骨再生が促進されたことがわかった。現在はvitroのデータを集めている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最も時間がかかり、研究の核となる部分と思っていたvivo実験系でいい結果が出たので、それと各種細胞群とフィブリンゲルとの共培養時の細胞のRNA-seqの結果を見れば何かしらの答えは出せると思われるためである。
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Strategy for Future Research Activity |
フィブリンゲルと各種細胞群(マクロファージ、骨芽細胞、象牙芽細胞、セメント芽細胞、歯根膜細胞)の共培養した際の細胞の変化をRNA-seqで比較する。その際にマクロファージ、骨芽細胞のデータと骨再生のvivo実験のデータを合わせてまとめる予定である。他の細胞に関してはそれぞれ別にまとめる予定である。
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Research Products
(1 results)