2022 Fiscal Year Research-status Report
歯髄幹細胞を基材とした人工神経様組織のin vitro創製
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22K17075
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堅田 千裕 大阪大学, 大学院歯学研究科, 招へい教員 (20876677)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 再生歯学 / 組織工学 / 細胞集合体 / オルガノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、神経細胞への分化能を有する歯髄幹細胞を用いて細胞集合体を作製し、神経細胞分化誘導培地による長期培養を試みた。長さ12 mm、深さ3 mmのグルーブを付与した温度応答性高分子pNIPAAmゲルにヒト第三大臼歯由来の歯髄幹細胞を播種し、2日間培養することで細胞集合体を作製した。そして、この細胞集合体をB-27などを添加した分化誘導培地を用いて最長20日間の培養を行った。まず、細胞集合体の培養による形態変化を評価したところ、培養5日間で長軸方向の長さが約75%に減少することが分かった。その後、細胞集合体の大きさは経時的に減少し、培養20日目で長さは約50%となったが、細胞集合体の形状は維持していた。このことから、歯髄幹細胞からなる細胞集合体は神経細胞分化誘導培地を用いて長期培養が可能であることが示された。次に、分化培地で最長20日間培養した細胞集合体について、パラフィン包埋薄切切片を作製し、ヘマトキシリン・エオジン染色を行った。その結果、培養5日目の集合体は疎な構造をしているが、培養期間が増加するにつれて内部構造は徐々に密となり、培養20日目では均一な内部構造を呈することが明らかとなった。さらに、細胞集合体を構成する細胞の活性を検討することを目的として、細胞集合体のスライス試料に対してLive/Dead染色を行った。その結果、培養期間が延長するとともに死細胞の数が増加するものの、細胞集合体を構成する大部分の細胞が生存していることが分かった。これらの結果から、歯髄幹細胞からなる細胞集合体は、本研究で用いた分化誘導培地で細胞の活性を維持したままの状態で長期培養が可能であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度の研究実施計画に則り、歯髄幹細胞のみからなる細胞集合体を作製し、神経細胞分化誘導培地を用いて長期培養が可能であるかを検討した。前述のように、分化培地を用いて20日間培養した後も細胞集合体の形状を維持しており、さらに内部の細胞の大部分が生存していることが明らかとなった。 以上のことから本研究の進捗は、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
歯髄幹細胞のみからなる細胞集合体を神経細胞分化誘導培地を用いて長期培養できたことから、培養後の集合体について構成細胞の分化の状態を評価する。
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Causes of Carryover |
令和4年度に学会発表および論文発表を行う予定にしていたが、令和5年度に見送ったため次年度使用額が発生した。これついては、令和5年度での研究成果の発表に充当する。
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