2023 Fiscal Year Research-status Report
老化抑制遺伝子欠損マウスの切歯を用いた加齢に伴う硬組織劣化機構の材料学的分析
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22K17079
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
渡邉 知恵 昭和大学, 歯学部, 助教 (40801519)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 老化硬組織モデル / 加齢 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,昨年度から引き続き対象動物であるクロトー遺伝子欠損型(α-Klotho(-/-))マウスを搬入し,切歯象牙質に対して粘弾性挙動の測定および顕微ラマン分光分析を実施した. 粘弾性挙動は,多要素粘弾性モデルに硬組織を近似させる方法(Watanabe et al., Journal of Mechanical Behavior Biomedical Materials, 2024)を用いることで,弾性応答と粘性応答に区別して評価することが可能となった.老化モデルマウスの弾性応答が対照群より低かったことに加えて,主要な粘性応答はコントロールマウスの半分以下であることが明らかになった.このことより老化モデルマウスの硬組織はエネルギー吸収の低下が壊れやすさ(破壊靭性)につながっていることが推察された. 顕微ラマン分光分析では,老化モデルマウスにおいてAGEs(ペントシジン)の増加および石灰化度の低下を認めた.これはエナメル象牙境に近い,つまり生成されてからの時間経過が長い象牙質部分で顕著であり,比較的生成されて新しい歯髄付近の象牙質では有意差を認めなかった. 現在はSHG(第二高調波発生)顕微鏡観察用のサンプル作成まで終了しており,今後はそちらの解析からコラーゲン線維の配向性の違いを観察していく予定である.コラーゲン線維の配向性と機械的特性の低下との関連について明らかにし,学会発表・論文投稿まで目指す.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,老化モデルマウスの象牙質に対して複数の解析が進行している.主な解析であるナノインデンテーションは測定が終了し,おおむね順調に進めることができている.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでのデータからクロトー遺伝子欠損型マウスでは石灰化不全が疑われており,その仮説の検証を目指す.SHG顕微鏡観察のためのサンプルは作成しており,今後はそちらの解析からコラーゲン線維の配向性の違いを観察していく予定である.さらにこれまで得られた研究結果についてまとめ,学会発表および論文投稿を目指す.
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Causes of Carryover |
3月後半に出席し,研究発表を行った国際学会の経費が,次年度に繰り越されたためである. 最終年度は,学会発表および論文投稿にかかる諸経費に用いる予定である.
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Research Products
(6 results)