2023 Fiscal Year Research-status Report
ディスバイオーシスを考慮したインプラント周囲炎に対する新規治療戦略の構築
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22K17089
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
駒津 匡二 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (60910065)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | インプラント周囲炎 / 細菌叢解析 / 16S rRNA gene / バイオインフォマティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、インプラント周囲炎の治療効果や経過に影響を与える細菌叢パターンを特定することを目的としている。本年度は、異なる疾患フェーズの患者を対象に解析を進めた。これは、疾患の進行状況による細菌叢の変化を明らかにし、治療戦略に向けた特定の細菌種を見つける可能性を探るためである。採取されたプラークから細菌由来のDNAを抽出し、次世代シーケンサーを用いた塩基配列情報の取得および16S rRNA遺伝子解析を実施した。健常なインプラント、インプラント粘膜炎、インプラント周囲炎における細菌叢の特徴を調査した。 51名の患者から75個の歯肉縁下プラークを対象にDNA抽出と細菌組成解析を行った結果、インプラント粘膜炎部位およびインプラント周囲炎部位は健常なインプラント部位と有意に異なり、DesulfomicrobiumやSaccharibacteria (TM7)がインプラント周囲疾患の早期診断の指標となる可能性が示唆された。また、Porphyromonas gingivalis、Treponema、Fusobacterium nucleatumなども病的状態に関与していることが確認された。 これまでの結果からインプラント周囲疾患の診断および治療戦略に新たな洞察を提供し、今後の研究および臨床応用に向けた重要な知見を得ることができた。特に、細菌叢の変化が治療戦略にどのように影響するかを理解するための貴重なデータを収集し、今後のインプラント治療の改善に寄与することが期待される。また、次年度以降は、保存されているRNAサンプルを含めた解析を予定しており、より詳細な細菌の機能的役割の解明を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床サンプルの継続的な確保を進めながら、データ解析を実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまでに確保されてきたRNAサンプルのクオリティ評価の実施からシーケンスを行なっていく。
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Causes of Carryover |
本研究において最も費用のかかるRNAシーケンスの実施は、十分なサンプル数が確保された時点で行う計画であるため、次年度に研究費を持ち越すこととした。
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