2022 Fiscal Year Research-status Report
多能性を維持したVitrification歯根膜幹細胞スフェロイド確立の試み
Project/Area Number |
22K17096
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
佐野 孝太朗 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (10852486)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 歯周病 / 再生医療 / スフェロイド / 歯根膜幹細胞 / Vitrification |
Outline of Annual Research Achievements |
歯根膜幹細胞を3次元的に培養した歯根膜幹細胞スフェロイドは、これまでの研究により、一般的な単層培養細胞と比較して生理的機能が向上しており、歯周組織再生に有効であることが報告されている。ところが、スフェロイド作製に十分な細胞数を確保するまで歯根膜幹細胞を培養・継代する必要があること、スフェロイド作製用マイクロウェルチップに細胞を播種する前にチップに表面処理等の準備をする必要があること、チップに播種した後も歯根膜幹細胞が凝集しスフェロイドを形成するまで培養を続けること、等の理由で、歯根膜幹細胞スフェロイドを入手するまでにある程度の時間を要する。このことは歯根膜幹細胞スフェロイドの今後の臨床応用に向けての実用性・工程の簡便性を考慮すると、障害になる可能性があった。 そこで、歯根膜幹細胞スフェロイドをガラス化法(Vitrification)により凍結し、多分化能および組織再生能を維持したまま長期保存することで、必要な際に即時入手可能となる環境構築を試みた。 今年度は歯根膜幹細胞スフェロイドを2種類の凍結法;ガラス化法および緩慢凍結法(Slow freezing)により凍結・一定期間保存後した後に解凍し、凍結前後で形態および多分化能に変化するか検討を行った。歯根膜幹細胞スフェロイドを凍結し、7日(短期)・30日(中期)の保存後解凍した。形態は球状を維持していた。リアルタイムPCR法にて幹細胞性の指標となるOCT4、NANOGの発現を確認したところ、凍結前と概ね変化は見られなかった。Live/Dead染色より、生存率についてはガラス化法が緩慢凍結法に比べて優れていることが明らかになった。現在、より長期(90日)の保存条件での検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ガラス化法のための機材は他分野との共用のため。また、スフェロイドの保存期間に短期、中期、長期の3段階を設けており、検証には保存期間を待つ必要があるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、細胞数による形態および特性への影響、凍結方法による多分化能への影響、および凍結前後のスフェロイドの移植実験を予定している。
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Causes of Carryover |
当初の予定よりも計画が遅れており、計画当初に必要と考えられた費用が生じなかったため。次年度に今年度の計画を盛り込んで予定しているため、予定通りの必要が発生すると考えられる。
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