2023 Fiscal Year Research-status Report
プラットフォームスイッチング模倣インプラントにおける周囲炎メカニズムの解明
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22K17124
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
首藤 崇裕 大阪歯科大学, 医療保健学部, 講師 (40804604)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | インプラント周囲炎モデル / インプラント表面付着物 / チタン / 炎症性サイトカイン / 骨吸収関連分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、Porphyromonas gingivalis由来のLPSとチタン標準液の刺激下における、インプラント周囲軟組織を構成する歯肉上皮細胞や歯肉線維芽細胞、骨芽細胞や破骨細胞といった骨関連細胞の各種炎症性サイトカインや骨吸収関連分子の発現動態を前年度に引き続き検討した。 また、実験用小動物(雄性Wistar系ラット)を用いた動物実験を実施した。左右上顎第一臼歯を抜歯後、純チタン製のプラットフォームスイッチング模倣インプラントまたはプラットフォームマッチング型インプラントを即時埋入した。周囲組織の治癒や骨結合を待った後、結紮誘発性実験的インプラント周囲炎の発症を試みた。2週後にインプラントを回収し、インプラント表面に付着している物質について走査型電子顕微鏡(SEM)による観察や元素分析を行った。明瞭な骨吸収やインプラント体部の露出というような所見は見られていなかったため、プラットフォームスイッチング模倣インプラントまたはプラットフォームマッチング型インプラントのインプラント体部においては共通してチタンや鉄などが検出された。一方でアバットメント部においては、チタンや鉄以外に周囲組織、食物残渣、唾液や血液由来と考えられる物質も検出された。プラットフォームスイッチング模倣インプラントではプラットフォームマッチング型インプラントと比較して、同部位により多く付着物が存在している傾向が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度中に動物実験における本研究特有の手技や実験的疾患動物モデルのおおよその確立は達成できたが、インプラント表面付着物質の解析についてはまだサンプル数が限られており、再現性が十分とは言えない状況である。並行して行なっている培養細胞を用いたin vitro実験についても、現在、インプラント表面付着物質による各種細胞への影響を解析・検討している段階である。以上の理由から、現状では本研究の進行はやや遅れていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
より円滑な研究遂行のため、引き続き研究協力者とこれまで以上に密に連絡を取り合い、アドバイスを貰うことで実験の効率化を図っていく。 再現性を得るため、また詳細な検討が必要なため、インプラント埋入モデルを引き続き作製していく。その際、サンプル回収までに埋入不備によるインプラントの脱落がないよう、これまでの経験や研究協力者のアドバイスを参考に実施する。回収したインプラント表面付着物質について、インプラントの種類ごとでの主な付着部位、量などの違いを検討し、主な供給源を特定できるよう受託解析も視野に詳細な検討を行っていく。また、この付着物を調整後、各種培養細胞(歯肉上皮細胞、歯肉線維芽細胞、骨関連細胞)に添加し、炎症性サイトカインや骨吸収関連分子の遺伝子発現動態を解析する。
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Causes of Carryover |
2023年度中に行なった実験・解析の内容と進行度において、既存の細胞株や試薬、ピペットなどの消耗品の使用で多くを補うことができた。動物実験で使用するインプラントや器具はまだ一部の購入であり、細胞培養実験で使用する試薬類および消耗品も含め、今後新規または追加購入することが見込まれるため、次年度使用額が生じることとなった。 今後はより詳細な検討のために、表面付着物質の解析やマイクロアレイ解析を外注委託することも考えている。また、国内外の学会参加費としても支出予定である。
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