2022 Fiscal Year Research-status Report
S-PRGフィラー含有義歯安定材の抗菌メカニズムと安全性の解明
Project/Area Number |
22K17129
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
波多野 恵太 東京医科歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (80910083)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 義歯安定材 / S-PRGフィラー / イオン徐放 / Candida albicans / 高齢者歯科 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は実験1-1のCandida albicansの増殖抑制評価と実験1-2のCandida albicansのリパーゼ遺伝子への影響の評価を実施した。 Candida albicansはデンチャー・プラークの中でも高比率で検出され、義歯への付着能が他の微生物と比較して高く、義歯性口内炎の原因菌である。 まず、S-PRGフィラー含有義歯安定材抽出液を加えて培地を作製し、培地上にCandida albicansを接種、培養後、吸光度を測定し、細菌濃度を算出した。その後、Candida albicansの脂質分解活性に関与するリパーゼ遺伝子(LIP1-LIP10)に及ぼす影響を評価した。S-PRGフィラー含有義歯安定材抽出液とCandida albicansの混合液(32倍希釈の混合液と64倍希釈の混合液を作製)から、RNAを抽出後、PCR測定にてDNA量を算出した。結果は、細菌増殖抑制を認め、32倍希釈の混合液では、LIP5とLIP8において発現抑制を認め、64倍希釈の混合液では、有意な差を認めなかった。これよりS-PRGフィラー含有義歯安定材抽出液はリパーゼ遺伝子発現を低下させることにより、Candida albicansの活性を抑制する可能性があることが示唆された。 本実験で得られた研究成果については、英語論文にまとめて国際学術雑誌に投稿し、すでに掲載されている。 今後は、Candida albicansの深在性感染に関与するアスパラギン酸プロテアーゼ(Sap)ファミリーへの影響を解明するために実験を行なっていく予定である。また、実際のS-PRGフィラー含有義歯安定材を用いたCandida albicansのリパーゼ遺伝子とアスパラギン酸プロテアーゼ(Sap)ファミリーへの影響評価も実施予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、実験に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は2022年度に実施予定であった一部実験(S-PRGフィラー含有義歯安定材からの調製)の実施と、実際のS-PRGフィラー含有義歯安定材を用いたCandida albicansのリパーゼ遺伝子とアスパラギン酸プロテアーゼ(Sap)ファミリーへの影響評価を実施予定である。
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Causes of Carryover |
今後、実験1-2の続きであるCandida albicansのアスパラギン酸プロテアーゼ(Sap)ファミリーへの影響評価、実験2のヒト歯肉上皮細胞への細胞毒性評価を実施していくにあたり、物品費が必要である。また実験の成果を学会にて発表を行うにあたり、旅費が必要となるため。
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