2022 Fiscal Year Research-status Report
歯槽骨内部の応力・ひずみが方向依存的に形成と吸収を制御するメカニズムの解明
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22K17131
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
大河原 久実 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 医員 (00882929)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | メカニカルストレス / 有限要素解析 / 骨形態計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
咀嚼によって生じる咬合力は歯周組織を介して歯根膜周囲の歯槽骨に伝達される。一般に、骨組織の恒常性は骨吸収と骨形成によって維持されるが、この代謝メカニズムには力学的な刺激が重要な影響を及ぼす。一方で、力学的刺激による生体組織や生体材料への影響はその部位に生じた応力の方向と大きさによって表すことができる。昨今の数学モデルを用いた応力解析の技術的な進展により、歯周組織を取り囲む歯槽骨には力学的刺激が負荷されることで、均一ではなく部位によって異なる大きさの引張りと圧縮の応力が発生することが示されている。しかし、この引張りと圧縮の応力が歯根膜周囲の局所の歯槽骨の細胞活性に及ぼす影響は明らかでない。 本年度はマウスの上顎左側第一臼歯に対して実験的荷重を付与し、各マウスのin vivo μCTデータを基にマウス上顎骨の3次元有限要素モデルの構築および解析を行った。組織図を顕微鏡画像として得たのち、各マウスの3次元有限要素モデルから個々の組織像に対応する断面を切り出すことにより、組織像に対応するマウス個別の応力分布図を得ることができた。このようにして得た応力分布図と組織像を重ね合わせ、応力と骨組織の形態学的パラメータを比較解析したところ、臼歯歯根周囲の歯槽骨における骨形成パラメータの増減は引張り応力の増減と連動しており、骨形成活性は局所の引張り応力の影響を強く受けることが示された。今後は応力分布と骨吸収パラメータとの関連について解析を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
有限要素モデルの詳細な条件設定に研究時間を費やす必要があったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は応力分布と骨吸収パラメータとの関連について解析を進めていく。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画よりも進行がやや遅れており、必要器材を今後購入するため次年度使用額が生じた。来年度以降、研究の進行に応じて助成金を使用する。
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Research Products
(2 results)