2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K17137
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
桑原 実穂 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (30868287)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | CCN3 / 加齢 / 軟骨 |
Outline of Annual Research Achievements |
生後2日から37週までの様々な週齢のマウス膝関節組織から単離した初代培養軟骨細胞の遺伝子発現解析で、CCN3 mRNAとともに細胞周期停止因子p21, p53、SASP因子であるIL-6, IL-8 mRNAの発現レベルとマウス週齢との間に強い正の相関を認めた。これはヒト初代培養軟骨細胞でも同様の遺伝子発現と年齢との相関を示した。また、CCN3抗体を用いた1ヶ月から7ヶ月齢のマウス膝関節の免疫染色において、加齢とともに強い染色性が観察された。ヒト初代培養軟骨細胞とラット培養軟骨細胞株RCSに酸化ストレスとしてH2O2を添加し、人工的に細胞老化を誘発したところCCN3 mRNAの有意な発現上昇とともに、p21,p53の発現上昇が認められた。RCS細胞にCCN3を発現ベクターの導入により過剰発現させるとp21プロモータ活性が上昇することに加え、RCS細胞に組換えCCN3蛋白を添加するとp21, p53 mRNAが誘導されことから、CCN3の発現上昇によっても細胞周期停止因子の誘導による老化が誘発されることが明らかとなった。さらに、軟骨組織特異的にCCN3を発現するトランスジェニックマウスの関節軟骨では、早期に関節変性が誘導され、同マウス軟骨細胞では細胞周期停止因子群、SASP因子群の発現が上昇していた。 さらに、健常成人とOA患者から採取した大腿骨頭におけるCCN3の免疫染色では、OA群で軟骨細胞上層部に陽性細胞の集積と軟骨表層の基質での染色性の高い領域を認めた。また、単離した軟骨細胞の遺伝子解析では、健常群に比べOA群でCCN3 mRNAの発現が有意に上昇するとともに、p16やADAMTS4、Aggrecan mRNAなどの発現誘導も認められた。また、同サンプルのMankin scoreによって得られた組織学的変性度と、CCN3 mRNA発現レベルには正の相関を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
老化軟骨細胞におけるCCN3の発現誘導に加え、CCN3の過剰発現による軟骨細胞老化現象を明らかにした本実績は国際科学雑誌に投稿した。今年度はさらに若年より老年期の初代培養関節軟骨から得たRNAを用いてRNA-seqを行い、様々な因子の発現変動をすでに検出しており、遺伝子発現の変動と老化との関連、CCN3発現変動との関連について現在解析中である。また、当初予定はしていなかったが、変形性股関節症患者におけるCCN3を介した病態発症機構についても解明中である。
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Strategy for Future Research Activity |
老化軟骨細胞におけるCCN3の発現を上昇させる因子の検索として、高齢および若年ヒトから得られた軟骨細胞からRNAを抽出しRNA-Seq解析によりCCN3の発現を上昇させると期待される因子の同定を行う。。 CCN3による新たな軟骨細胞老化経路の解明として、CCN3発現が直接影響を及ぼす分子あるいは経路の特定我々が既に作製している軟骨組織特異的CCN3過剰発現マウスの軟骨細胞より採取したRNAを用いたマイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析を行う。 これらの因子の遺伝子改変マウスをCRISPR-Cas9システムを用いて作製し、表現型を解析する。
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Causes of Carryover |
当初予定していたCCN3トランスジェニックマウス顎関節内の遺伝子解析や顎関節限局的な遺伝子編集等を本年度中に行えなかったため、次年度での施行を予定している。
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