2022 Fiscal Year Research-status Report
1細胞解析を応用した血管基底膜に起因した骨髄老化メカニズムの解明
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22K17139
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
納所 秋二 岡山大学, 大学病院, 医員 (40884797)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 骨髄老化 / CAR細胞 / 血管基底膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢による骨髄機能の低下は,骨髄中の血管基底膜の老化によりCAR細胞と呼ばれる間葉系幹細胞を中心とした骨髄ニッチの変化に起因すると考えられている.本仮説に基づいて老化,血管基底膜,CAR細胞,造血機能の関連性に着目し,血管基底膜―CAR細胞老化の観点から1細胞レベルでのトランスクリプトーム解析であるsingle cell RNA-sequencing (scRNA-Seq)を用いて詳細に解析を行った.具体的には,若齢 (8週齢)および高齢 (80週齢以上)の野生型マウスより骨髄細胞を採取して,酵素処理により細胞の単一化を行ったのちCD45,Ter119陰性分画に存在する細胞をセルソーターにより分離し,シングルセル解析システムにてライブラリーを作製してシークエンスを行った.その後,それぞれの週齢の集団における細胞集団の老化に伴う変化を明らかにするために,それぞれの細胞集団に対して,若齢骨髄と高齢骨髄間の遺伝子発現変動解析を行った.その結果,発現変動遺伝子 (Differential Expression Gene: DEG)数は,Adipo-CARで632,Osteo-CARで324,Ng2+MSCsで22,骨芽細胞で0,類洞内皮細胞で268であり,類洞基底膜周囲に局在するAdiponectin (ADIPOQ)陽性CAR細胞 (Adipo-CAR)が老化に伴い,変化していることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は,1細胞解析を行い解析も実施しており,おおむね順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は,どのような基底膜分子が老化に伴い変化しているかを,上記の1細胞解析の結果から抽出を行う予定である.そして,その基底膜分子が細胞の老化にどのように関わっているか,in vitroの細胞培養実験にて明らかにする予定である.
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Causes of Carryover |
1細胞解析を行う際,これまですべてのサンプルを別々に解析する必要があり,キットに多額の経費が必要であった.しかし,今回,他のキットを応用することで,サンプルを1つにまとめて解析するプロトコールを確立することに成功した.その結果,1細胞解析の経費を削減することができた.一方,近年円安で,海外から購入するリコンビナントタンパク質の価格が高騰している.削減できた経費は,2023年度の細胞培養実験に購入する予定のリコンビナントタンパク質の経費に用いる予定である.
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