2022 Fiscal Year Research-status Report
植物性アルカロイドであるセファランチンを応用した義歯患者用機能的口腔保湿剤の開発
Project/Area Number |
22K17141
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
叶井 里歩 長崎大学, 病院(歯学系), 助教 (70910727)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 口腔保湿剤 / 歯科補綴学 / 歯科理工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢社会を迎える本邦ではドライマウス(口腔乾燥症)を自覚する高齢義歯装着患者数が増加の一途を辿っており,これに起因する齲蝕や辺縁性歯周炎の進行,義歯の適合不全や口腔粘膜の義歯性潰瘍等が大きな問題となっている.ドライマウスに対しては,現在市販の口腔保湿剤が対症療法的に使用されているが,これらの保湿剤の多くは単に唾液分泌量の減少を補う作用を有するのみである.本研究は,唾液分泌促進作用と粘膜創傷治癒促進作用を兼ね備えた植物性アルカロイドであるセファランチンを応用し,国内外を通して初の試みとなるセファランチン含有義歯患者用機能的口腔保湿剤の開発を目指す.本研究の目的は,口腔保湿剤に添加したセファランチンが唾液分泌促進機能,口腔粘膜創傷治癒能および粘着力(義歯の安定性)に与える影響を,組織形態学的,分子生物学的,理工学的に網羅的に検討し,唾液分泌と創傷治癒促進機能を兼ね備えた機能的口腔保湿剤を開発することである.細胞実験,動物実験および臨床的試験それぞれにおいて評価を行い,次いで口腔保湿剤の基本的成分と粘着力(義歯の維持安定性)との関係について実験を行った上で組成の決定を行う.さらに,セファランチンを添加した際の物性についても評価を行う.これらの結果をもとに試作材料の成分を決定し,臨床試験に移行する予定とした.本年度は,口腔保湿剤(ジェルタイプ)の組成を決定するための予備実験を行った.セファランチン,水溶性高分子(カルボキシメチルセルロース),流動パラフィン,フィラーをはじめとした試作口腔保湿剤にセファランチンを添加し,粘度・粘着力などの理工学的評価を行うところから実験を開始した.予備実験を重ねているものの,口腔保湿剤の材料の成分の決定に時間を要しており,理工学的解析は次年度に持ち越す予定である.今後は組成の最終決定を行い,ヒト歯肉線維芽細胞を使った細胞実験に移行する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
口腔保湿剤の材料の成分の決定と予備実験に時間を要した上,有効なものを新たに発見できなかっため.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は予備実験で得られたデータを基に試作口腔保湿剤の組成を決定し,本格的に細胞実験に移行する予定である.
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Causes of Carryover |
理由は、新規試作口腔保湿剤実験関連の消耗品の購入予算として計上した分の購入に至っていないため.セファランチン含有試作口腔保湿剤の各種評価に必要な実験の消耗品の購入予算として計上予定である。
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