2022 Fiscal Year Research-status Report
治療抵抗性口腔癌に対するプロテアソーム阻害剤を併用した新規治療戦略の確立
Project/Area Number |
22K17191
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
城井 友幸 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 助教 (20907240)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 治療抵抗性口腔癌 / プロテアソーム阻害剤 / NF-κB |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、再発・転移口腔癌に対して行われているPTX+Cmab療法は、奏効率が高く、外来通院で治療可能なため、QOLを維持する治療として患者の生命予後に寄与している。一方で、PTX+Cmabが奏効せず緩和医療に移行する症例も存在する。申請者の所属施設では、PTX+Cmabのin vitro感受性試験を確立し、不適応症例の判定が可能であるが、その過程で、PTX単剤で効果なく、Cmab上乗せにより奏効した症例が多いことを発見し、その上乗せ効果のメカニズムを検討してきた。申請者は、このPTX+Cmabの効果増強作用には、PTENの経時的な増加量が関与していることを明らかにした。さらにPTEN増加量とNF-κB活性が関連することも確認した。そこで、PTX+CmabへNF-κB活性を抑制するプロテアソーム阻害剤(ボルテゾミブ)を併用することで、PTX+Cmab不応症例に対し、生存率のさらなる延長に寄与できると考え、本研究では、新規治療法確立のため、口腔癌に対するPTX+Cmabへのプロテアソーム阻害剤の併用効果の有効性について基礎的に検討する。具体的には、抗癌剤感受性試験のCD-DST法を応用して、in vitroにおける、PTX+Cmabへのプロテアソーム阻害剤併用による抗腫瘍効果を確認する。また、プロテアソーム阻害剤であるボルテゾミブは、全身的な副作用も懸念されるため、可及的に低用量併用での抗腫瘍効果獲得が必要であり、PTX+Cmabに併用するボルテゾミブの適切な濃度、用量の検索を行う必要がある。令和4年度の実験では、PTX+Cmabに低感受性の口腔癌細胞株に対して、ボルテゾミブを接触させたところ、濃度依存的に抗腫瘍効果を示し、さらに、同様の細胞株に、PTX+Cmab接触に上乗せで、Cmaxの1/10程度の低用量ボルテゾミブを併用したところ、十分な抗腫瘍効果を示し、高感受性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
抗癌剤感受性試験であるCD-DST法を応用して、PTX+Cmabへの、プロテアソーム阻害剤であるボルテゾミブ併用による抗腫瘍効果を確認できた。ボルテゾミブの併用は濃度依存的な抗腫瘍効果を認め、PTX+Cmab低感受性の口腔癌細胞株へ低用量のボルテゾミブを併用したところ、明らかな抗腫瘍効果の増大を認め、高感受性を示した。以上のように、in vitroにおいて、PTX+Cmabへのボルテゾミブ併用の抗腫瘍効果、および有効性が明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
抗癌剤感受性試験であるCD-DST法を応用した実験では、in vitroにおいてPTX+Cmabへのプロテアソーム阻害剤併用効果、有効性が明らかになった。しかし、プロテアソーム阻害剤であるボルテゾミブは全身的な副作用も強いため、可及的に低用量で併用するため、抗腫瘍効果を認める用量、濃度の検索が必要である。さらに、ヌードマウス法を用いて、in vivoにおけるPTX+Cmabへのボルテゾミブ併用効果の検討が必要である。
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Causes of Carryover |
設備として、超微量分光光度計 NanoDrop Liteを購入予定であったが、代替設備で実験を行ったため、本年度では購入しなかったため当該助成金が生じた。当該助成金は次年度分として請求し、超微量分光光度計 NanoDrop Liteを購入予定。遺伝子学的検討における実験を効率化し、活用する。
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