2022 Fiscal Year Research-status Report
全ての年齢におけるデクスメデトミジンのさらなる安全使用に向けての研究
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22K17192
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
橋爪 那奈 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (40824066)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Dexmedetomidine / α2アドレナリン受容体 / イミダゾリン1受容体 / RSA |
Outline of Annual Research Achievements |
Dexmedetomidine(DEX)はα2アドレナリン受容体(α2AD受容体)作動薬として知られ、呼吸抑制が少ない新たな鎮静薬として歯科領域への適用が期待されている。しかし、DEXは循環抑制作用が強く、それにはイミダゾリン1受容体(I1受容体)の関与が示唆されているが、呼吸の維持についてその詳細な機序はいまだ不明である。申請者は、ラット新生仔実験において、DEXによるI1受容体の刺激が心拍数を減少させるだけでなく、呼吸の駆動力を増加させることを見出した。このI1受容体の働きは成熟ラットにおいても関与するのかを調べるため、成熟ラットを対象にバロメトリック法を用いて自発呼吸を測定し、さらに尾動脈カテーテルを介して新生仔では採取不可能な血液ガス(PaO2、PaCO2、pH)と平均動脈圧の測定を行った。その結果、DEX投与量の違いによって平均動脈圧の反応に差異が生じることを確認した。また、DEXの影響としてPaO2の低下、PaCO2上昇およびpH低下などの動脈血液ガス動態の変動と血中グルコース濃度の上昇を確認した。さらに、DEX投与後に拮抗薬であるatipamezoleとefaroxanを追加投与し、DEXの呼吸循環抑制効果に対する各々の拮抗作用を調べたところ、新生仔ラットで確認されたefaroxan投与による呼吸の駆動力の増加は認められなかった。これらのことから、呼吸循環系におけるα2AD受容体とI1受容体の機能的役割は、未熟な新生仔ラットと、成熟ラットとの間で異なることが示唆された。 現在、10日齢~28日齢のラットで呼吸循環のコントロール動物の測定を行っており、薬剤投与方法や、呼吸循環に関しては横隔膜の筋電図を使用する手法を用いて測定を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在10~28日齢のラットでの測定を行っているが、当初予定していた測定方法では体動等により測定が安定しないため、現在、新たな測定方法を用いて行っており、さらに薬剤の測定方法もより侵襲を少なく安定した方法の確立を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は、令和4年度に遂行できなかった実験を進めていく。特に、現在10~28日齢のラットでの測定方法を確立しつつあるため、測定および薬剤投与を行い測定を進めていく。また、組織を免疫組織化学的手法を用いて解析を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
令和4年度は実際の測定を行う前の測定方法の確立に時間を要してしまったため、試薬や実験動物等の購入を見送った。令和5年度は同物品を購入する予定である。
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