2023 Fiscal Year Research-status Report
プラズマ活性化乳酸リンゲル液による口腔がん細胞特異的殺傷作用のオミクス解析
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22K17200
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 康太郎 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (00908808)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | プラズマ活性化乳酸リンゲル液 / コラーゲン / フェロトーシス / 口腔癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
プラズマ活性化乳酸リンゲル液(PAL)を投与することで,口腔癌細胞では正常細胞と比較して低濃度で殺細胞効果を示し,癌細胞特異的に効果を発揮することを確認した.またウエスタンブロット法ではフェリチン,フェロポーチンの低下が見られ,フローサイトメトリーでは脂質過酸化,電子顕微鏡ではミトコンドリアの形態変化がみられた.アポトーシス,ネクローシス阻害薬を投与したところ,細胞死は阻害されなかった.以上より,細胞死として主にフェロトーシスが起こっていることを明らかにした.Migrationおよびinvasion assayでは遊走および浸潤能の減弱がみられ,上皮間葉転換と関わりがあるLysyl oxidase (LOX)の有意な発現低下がみられた.口腔癌モデルマウスを使用したIn vivoの実験でもPALを投与することで舌上皮におけるLOXの発現低下がみられ,さらには発癌および頸部リンパ節転移が抑制され,生存率は有意に延長した.マイクロアレイによる網羅的解析においてもLOXの低下がみられた.組織学的に検討したところ,コラーゲンの形成抑制が観察された.血液検査では特に異常値は認めず、その他臓器に対する副作用は現時点では見られなかった.以上より,PALは口腔癌細胞に対してフェロトーシスを引き起こし,さらにコラーゲンおよびコラーゲンクロスリンクの形成を抑制することで転移を抑制させる可能性が示唆された.PALが口腔癌に対して副作用が少なく,効果的な治療方法であることが客観的に示されつつあり,今後の臨床研究への橋渡しとして重要な結果が得られたと考える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画より研究がすすみ,成果を論文で発表した.
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Strategy for Future Research Activity |
PAL投与によりLOXの低下がみられたものの,その他コラーゲンクロスリンクに関わる因子の検討は十分できていなかった.その点を補うべく,コラーゲンクロスリンク解析などの追加実験を計画している.
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Causes of Carryover |
解析依頼先の研究者の人事異動などがあり,次年度に予算を使用する必要性が出たため.
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