2022 Fiscal Year Research-status Report
オミクス解析を用いた口腔癌における歯周病原菌の役割の解明
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22K17202
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西山 今日子 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (70846542)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 口腔癌 / 歯周病原菌 / 浸潤・転移 / 癌微小環境 / オミクス解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔細菌感染である歯周病は口腔癌のリスク因子として挙げられ、歯周病原菌が原因の一つと考えられている。近年、TCGAデータを用いた網羅的な生体内分子解析(オミクス解析)によって生み出された大量のデータを、横断的に分析し生命現象を解明していくバイオインフォマティクスは急速に拡大・発展している。 これまでに我々は、頭頸部癌における飢餓誘導遺伝子の予後への影響を次世代シークエンサーやTCGAデータを用いて解析を行ってきた。 同様の方法で、今回我々は、頭頸部癌(HNSCC)への歯周病原菌が及ぼす影響を網羅的に解析し明らかにすることを目的とし研究を遂行した。その具体的な方法として、歯周病原菌P. gingivalis ATCC 33277またはF. nucleatum ATCC 25586(MOI:1)で口腔扁平上皮癌細胞株SASを処理し、RIsureを用いてRNAを抽出し次世代シークエンサーにて解析を行った。著明な発現変化を示す322遺伝子を抽出し、F. nucleatum感染細胞では120遺伝子の発現上昇と、202遺伝子の発現減少を認めた。また、P. gingivalis感染細胞では160遺伝子の発現上昇と、162遺伝子の発現減少を認めた。F. nucleatumもしくはP. gingivalis感染細胞で共通に著明な発現変化を示す遺伝子として31遺伝子(上昇)、48遺伝子(低下)を特定した。さらに、HNSCCのTCGAデータベースを用い、共通して変化を認めた遺伝子発現を調べたところ、CACYR、DHRS2、DLEU7、WISP1、AKAPS、C2orf88、KIAA1456、SLC47A1は、癌組織で正常組織と比較し発現に差を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに細胞・細菌培養、感染実験を遂行し、シークエンス解析、データ処理についてもスムーズに進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
F. nucleatumもしくはP. gingivalis感染細胞で共通に著明な発現変化を示し、かつHNSCCのTCGAデータベースにて共通して変化を認めた特定の8遺伝子(CACYR、DHRS2、DLEU7、WISP1、AKAPS、C2orf88、KIAA1456、SLC47A1)について、今後は高発現群と低発現群での生存率の違い等を中心にデータ解析を行っていく。それをもとに癌悪性化機構に関与するシグナル伝達やタンパク相互作用を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として、新型コロナウイルス感染症流行による活動制限継続のため、研究関連情報収集活動や学会発表・参加が当初の計画通りに遂行できなかった事が挙げられる。現在は活動制限はなくなり、今後は積極的な研究成果の社会発信が可能になると思われる。 また、一部の物品が輸入等のため、納品まで2、3か月かかり時間を要したことも理由として挙げられるが、現在納品待ちの状態で、納品され次第、使用予定である。
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Research Products
(2 results)