2022 Fiscal Year Research-status Report
関節円板前方転位による変形性顎関節症モデルの新規確立とOAメカニズムの解明
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22K17230
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
矢野下 真 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (20823199)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 関節円板前方転位モデル / 顎関節症 |
Outline of Annual Research Achievements |
変形性顎関節症(TMJ-OA)では関節円板の転位を伴うことがほとんどで、発症および進行に重要な役割を果たしていると推察される。しかしながら関節円板に着目した動物実験モデルは確立されておらず、そのことがメカニズム解明に至っていない要因の一つと考えられる。そこで申請者らは関節円板前方転位モデルを新たに作製することとした。 wistar系雄性ラットの側頭骨部に縦切開を入れ顎関節部を明示させた後、開口させ関節円板に対して直視下で絹糸をとおし前方へ牽引し閉鎖した。実験1では2,4,6,8週後に画像解析および組織学的分析を行った。また、3段階の力でそれぞれ2,4,6,8週間関節円板を牽引した。牽引力が強くなるに従い、下顎頭の変形度合は強くなる傾向を示し、Atrophy萎縮を示す個体が増える結果となった。ヒトと同様に比較的長期間かけ徐々に変形が進行する牽引力を見出し、以降はその牽引力で牽引を行った。 画像解析ではヒトと同様に初期では骨棘が形成され、後期に萎縮が認められる個体が増えた。過去の報告と比較してもTMJ-OAを示す確率は高く、モニター付き実体顕微鏡を用い、切開法を工夫し少ない切開で確実に顎関節を明示することの有効性が示された。組織学的検討では、ヘマトキシリンエオジン染色では正常な軟骨の層状構造が崩れており、線維細胞層での細胞数の減少および増殖層における軟骨細胞の形態異常が認められた。免疫組織学染色では下顎頭軟骨のみならず滑膜および後部結合組織においても炎症関連因子や基質分解酵素の有意な亢進が認められた。 今後下顎頭軟骨を採取し、RNAマイクロアレイにてTMJ-OAに至るメカニズムを解明する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験計画書の予定通り関節円板前方転位による新たなTMJ-OAモデルの確立が進んでいる。引き続き、関節円板前方転位による顎関節破壊メカニズムを詳細に検討していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
TMJ-OA組織からRNAを抽出しマイクロアレイにて骨および軟骨に関連するマーカーに及ぼす影響を観察する。また、機械的負荷の伝達経路に及ぼす影響についても検討を進めていく。
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Causes of Carryover |
消耗品の消費量が減少したこと、マイクロアレイを次年度に行う計画に変更したこと、コロナにより学会参加数が減少したため次年度使用額が生じた。
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Research Products
(5 results)