2023 Fiscal Year Research-status Report
関節円板前方転位による変形性顎関節症モデルの新規確立とOAメカニズムの解明
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22K17230
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
矢野下 真 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (20823199)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 変形性顎関節症 / 関節円板前方転位 |
Outline of Annual Research Achievements |
顎関節円板前方転位は顎関節症の発症及び増悪に大きく関与しているとされるが、形態学的、組織学的な詳細については不明である。本研究では両側顎関節円板前方転位術 (Anterior disc displacement, 以下ADD)を施行したモデルラットを作製し、関節円板前方転位が下顎頭へ及ぼす影響を解析する事を目的とし以下の検討を行った。 実験に使用したラットは12週齢Wistar系雄性で、1週間予備飼育した後、両側顎関節のADDを行った。施術14、28、42、56日後にラットを屠殺し、灌流固定を行った。その後に高解像度での頭部C T撮影を行い、下顎頭の形態変化について評価を行った。またCT撮影終了後、資料を脱灰し、顎関節部の組織切片を作成し組織学的検討を行った。 CTによる解析にてADD群では施術14日、28日後で下顎頭前方部の平坦化(flattening)が認められ、また施術42日、56日後で下顎頭前方部における骨棘様 (osteophyte)の形態変化が認められた。切片を用いた組織学的検討ではADD群の下顎頭軟骨層において細胞質の変性、サフラニン染色性の低下、炎症性サイトカインの増加が認められた。 以上より、顎関節円板前方転位により下顎頭に炎症状態が惹起され、その結果として下顎頭に変形が生じる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2022年および2023年のマイクロCTの故障によりCT解析が行えず、下顎頭変形の進行を経時的に確認することが困難となったことに加え、採取した滑膜のマイクロアレイ解析にも時間を要したため遅延した。
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Strategy for Future Research Activity |
関節円板転位後の滑膜および滑液の解析(ELISA解析、高速液体クロマトグラフィーによるヒアルロン酸分子量を測定、ヒアルロン酸分解酵素活性を吸光光度計)。
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Causes of Carryover |
滑膜のマイクロアレイ解析に時間を要してしまったため、その後に行う予定としていた滑膜および滑液の解析(ELISA解析、高速液体クロマトグラフィーによるヒアルロン酸分子量を測定、ヒアルロン酸分解酵素活性を吸光光度計)のための物品費用が次年度に繰り越しとなった。 。
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