2022 Fiscal Year Research-status Report
自家歯牙移植へのマイトファジー制御型歯周組織オルガノイド併用法の開発
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22K17242
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
安永 まどか 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 講師 (80845264)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 歯周組織再生 / 歯根膜幹細胞 / 歯根膜幹細胞 / 歯牙移植 / 3次元培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
移植歯と受容側で再構築する歯周組織の調和を図るために、細胞群の極性を付与された歯周組織オルガノイドを併用した自家歯牙移植法の開発を目的とする。本研究では歯周組織を構築する細胞群に極性を付加するために、マイトファジーによる適切な極性を導く分化誘導法を検索する。それらの細胞から多層化細胞シートおよび細胞凝集体であるスフェロイドを作製する。そして、作製した細胞シートおよびスフェロイドを混合したコラーゲン・ゲル包埋培養を行い、ゲル内でのシートおよびスフェロイドの再凝集化からの極性を付与した歯周組織オルガノイドを形成させる。歯の移植モデルを作製して、オルガノイドを含有するゲルと移植歯の移植を行う。 本年度はオルガノイドの一部となるセメント芽細胞分化の促進を図るため歯根膜幹細胞を用いて研究を進めた。歯根膜幹細胞を用いてスフェロイド形成、もしくは細胞シートを作製した。その後にコラーゲンゲル内で培養を行い3次元培養を図った。プラスミノゲンアクチベーターインヒビター(PAI-1)を添加し3次元培養で分化能が向上した細胞にセメント芽細胞分化の誘導を図った。実験を繰り返し、歯根膜幹細胞のセメント芽細胞分化促進が図られることを認めた。結果をまとめて、TERMIS-EU 2023(組織工学・再生医療国際学会欧州支部会議)学会で発表を行った。また、セメント質分化誘導の確立のため、セメント芽細胞分化促進能があると報告されているCEMP-1を用いた分化促進法を検討した。歯根膜幹細胞にCEMP-1遺伝子導入を図り、導入後の細胞を細胞シートに形成する研究を進めている。また、マイトファジーによるミトコンドリアの品質管理を維持して、幹細胞を適切な分化に誘導する方法の確立を図る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調書の研究計画では、歯周組織オルガノイド形成のため未だ分化促進法の不明なことが多い、セメント質分化誘導の確立を図った。しかしながら、コロナ対策で実験時間が減少したこと、また細胞の反応性が不安定でありCEMP-1遺伝子導入が達成しておらず、遺伝子した細胞を用いた実験を計画していたためその後の実験も遅延している。実験を進め遺伝子導入を成功させセメント質分化誘導促進を図る。
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Strategy for Future Research Activity |
CEMP-1遺伝子導入した歯根膜幹細胞を3次元培養する。また、マイトファジーによる歯周組織オルガノイド構成細胞の極性、分化調整のために、歯根膜幹細胞へマイトファジーの亢進あるいは抑制を行い、分化誘導促進を図る。次にセメント質分化能に優れた細胞凝集体(細胞シートあるいは、スフェロイド形成後にさらに細胞らを凝集させ層状としたもの)を形成する。また、骨分化促進させた細胞凝集体と線維細胞分化を促進させた細胞凝集体を形成する。この3つの凝集体を3層に重ね、歯根を取り囲んだ人工の歯根膜組織とする。ラット抜去歯牙を用いて、人工歯根膜組織を抜歯窩に移植し、抜去歯牙の再植の確立を図る。歯牙移植の再植の際に問題となる歯根と歯槽骨の骨性癒着を防ぐために、3層の細胞凝集体は有利と考える。歯根表面にセメント質が再生された場合、歯根膜繊維がセメント質内に介在し歯槽骨と歯根膜繊維との安定につながると考える。再植後は組織のCT撮像を行い骨性癒着なしの歯根膜組織が介在した状態で再植できているかを評価する。また標本を作製し、染色などの解析を進める。以上のことから、歯周組織オルガノイドを併用した調和の取れた自家歯牙移植法の開発を目指す予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は他の研究費からの助成を受けていたことに加えて、コロナにより研究時間が減少して物品購入が少なかったため。やや研究の進捗状況が遅れているために、オルガノイド、細胞シート作製に使用する培養試薬および器具などに費用が掛かると予想されること、また遺伝子導入による実験も進めるため、繰り越し費用を実験に使用したいと考えている。
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Research Products
(1 results)