2023 Fiscal Year Research-status Report
低出力超音波パルスの機械的刺激下における骨細胞を介した骨吸収誘導機構の解明
Project/Area Number |
22K17243
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
坂本 麻由里 東北大学, 歯学研究科, 大学院非常勤講師 (20846422)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 矯正学的歯の移動 / 低出力超音波パルス / 骨改造 / 骨細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
数年間に及ぶ長期間の矯正歯科治療は、う蝕や歯周病、歯根吸収の発生に関与するため治療期間の短縮は重要である。低出力超音波パルス (LIPUS) は、骨改造を亢進させ、矯正学的歯の移動を促進させる可能性が示唆されるが、そのメカニズムは不明である。本研究では、骨細胞に着目し、マウス実験的歯の移動モデルおよび培養骨細胞を用いて、機械的刺激下における低出力超音波パルス (LIPUS) の骨細胞を介した骨吸収誘導機構を解明することを目的とする。本年度は、25週齢雄性Wistarラットに屈曲した直径0.012インチのニッケル・チタン製ワイヤーを装着し、上顎第1臼歯に15 gfの荷重が水平的かつ持続的に負荷されるように調節し、28日間、上顎臼歯を口蓋側に移動させた。また、矯正学的歯の移動開始後0,7,14,21日時に3分間振動刺激を負荷する振動刺激負荷群を作製した。さらに、矯正学的歯の移動群、振動+矯正学的歯の移動群それぞれに、TGF-beta阻害剤SB431542添加群とコントロール群を作製した。その結果、3分間の振動刺激の負荷により、矯正学的歯の移動は、歯の移動開始後9,14,21,28日時に歯の移動単独群に比較して有意に歯の移動量が増加していた。しかし、SB431542の添加により歯の移動単独および振動刺激負荷両群とも有意に歯の移動量が減少していた。組織学的には、矯正学的歯の移動開始後9日目において、圧迫側でTRAP陽性破骨細胞数が増加し、振動刺激の負荷によりさらに増加していたが、SB431542の添加により破骨細胞数の増加は認められなくなった。さらに、矯正学的歯の移動開始後9日目において、TGF-beta陽性骨細胞数は、圧迫側で増加し、矯正学的歯の移動に振動刺激を負荷することによりさらに増加していた。以上より、振動刺激は矯正学的歯の移動時における圧迫側の骨細胞のTGF-beta産生の促進に関与し、破骨細胞形成の促進に関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ラットを用いた実験的歯の移動モデルを用いて振動刺激の影響を組織学的に検討することができたが、LIPUSの影響の検討までは行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に作製したラット実験的歯の移動モデルを用いてLIPUS負荷の影響を検討するとともにin vitroでの解析も行う。
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Causes of Carryover |
本年度は、ラットを用いた実験的歯の移動モデルを用いて振動刺激の影響を組織学的に検討することができたが、LIPUSの影響の検討までは行うことができなかった。次年度以降に、本年度に作製したラット実験的歯の移動モデルを用いてLIPUS負荷の影響を検討するとともにin vitroでの解析も行う予定である。
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