2022 Fiscal Year Research-status Report
歯の移動における骨細胞の細胞死とダメージ関連分子の破骨細胞形成への影響の解明
Project/Area Number |
22K17244
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大堀 文俊 東北大学, 歯学研究科, 助教 (90937129)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 骨細胞 / 破骨細胞 / DAMPs / 歯の移動 / 細胞死 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯に矯正力が加わると、圧迫側に破骨細胞が出現し骨吸収が生じることで歯は移動していく。圧迫側の破骨細胞形成には、骨細胞が重要な役割を果たしていることがわかってきたが、詳細なメカニズムは明らかになっていないのが現状である。また、圧迫側では歯槽骨内の骨細胞が細胞死を起こすことが報告されている。一方、細胞死を起こした細胞からはdamage-associated molecular patterns(DAMPs)が放出されて炎症反応を惹起することがわかっているが、歯の移動に伴い細胞死した骨細胞から放出されるDAMPsが破骨細胞形成に与える影響は不明のままである。本研究の目的は、primary骨細胞を用いて圧迫側を再現した環境(低酸素・低栄養)で細胞死を誘導し、その際に放出される多種多様なDAMPsをプロテオーム解析で網羅的に解析することで同定し、歯の移動におけるDAMPsの破骨細胞形成に与える影響をin vitroとin vivoの両方で解明することである。 現在までに、骨細胞の低酸素と低栄養についてin vitroの研究を行った。まずは、骨細胞をBIONIX低酸素培養キットで培養し、遺伝子の発現解析のためRNA-seqを行った。現在、バイオインフォマティクス解析を実行しているところである。次に、低栄養の環境にするため骨細胞を無血清培地で培養し、骨細胞の形態の変化について評価した。無血清培地で培養した骨細胞は、血清が含まれている培地で培養した骨細胞と比較して、骨細胞の突起の長さに変化が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度は低酸素と低栄養をそれぞれ独立させて研究を遂行した。おおむね予定通り、それぞれの影響の解析を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は低酸素と低栄養の両方の条件を骨細胞に与え、細胞死の評価を進めていく。また、矯正学的歯の移動をマウスで行い、骨細胞の細胞死を電子顕微鏡(TEM)を用いて解析する。
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Causes of Carryover |
令和4年度の研究計画では、低酸素・低栄養下における骨細胞の細胞死の解析を行う予定であった。しかし、研究過程で低酸素と低栄養両方の条件の同時に行うよりも、低酸素と低栄養をそれぞれ独立して解析を行うことが新たな知見が得られると判断して研究計画の進度をやや遅らせたため、次年度使用額が発生した。
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Research Products
(3 results)