2023 Fiscal Year Research-status Report
食道がん化学療法による口腔粘膜炎重症化に対する新規予測ストラテジーの確立
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22K17268
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
内田 悠理香 岡山大学, 大学病院, 医員 (60816172)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 口腔粘膜炎 / 化学療法 / 口腔細菌 / がん |
Outline of Annual Research Achievements |
がん化学療法の有害事象の中で、口腔粘膜炎は約40%の高頻度で発症する。口腔粘膜炎の重症化は患者QOLの低下を招くだけでなく、体力低下や低栄養状態に伴う治療休止や薬剤減量などが必要となり、治療の完遂が困難となる。化学療法開始前からの専門的口腔清掃による細菌コントロールが口腔粘膜炎の重症化を防ぐことが示唆されているが、食道がん術前化学療法における口腔細菌叢の質的・量的変化については未だ不明である。 そこで本研究では、まずは術前化学療法中の口腔細菌叢の変化を網羅的に解析することで、食道がん術前化学療法における口腔粘膜炎の発症・重症化に関与する特定の細菌叢を明らかにすることを目的とする。さらに、口腔粘膜炎の重症化に寄与する新たなリスク因子やスクリーニング法の解明を進める。 本年度は、口腔粘膜炎の潰瘍表面に感染する口腔細菌の採取を想定して、頬粘膜・口唇・舌縁のスワブサンプリング方法とDNA抽出条件の修正を行った。口腔細菌と真菌の解析を行うため、メタ16S解析とITS2領域の解析方法を選択した。予備研究におけるスワブサンプリングでは洗口吐出液と比べてDNA濃度が低かったが、メタ16S解析の測定は可能であった。一方、ITS2領域の解析では、スワブサンプリングで増幅の悪いサンプルが多かった。真菌が増加している実際の患者では測定可能と考えられるため、現在のサンプリング方法とDNA抽出条件に決定した。今後は、実際の食道がん患者にてサンプリングをスタートさせる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
口腔細菌と真菌のサンプリング方法の最適な採取およびDNA抽出条件の修正に時間を要したため。 化学療法のスケジュールに合わせた最適なサンプリング時期を検討したため。
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Strategy for Future Research Activity |
関係する診療科、病棟と連携を取り、食道がん患者の術前抗がん剤投与スケジュールに合わせて、口腔細菌のサンプリングを行っていく。Grade2以上(NCI-CTCAE v3.0)以上の重度口腔粘膜炎を生じた患者に特異的に検出される口腔細菌叢があるか調査していく。
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Causes of Carryover |
シーケンス解析費用として確保していたが、サンプリング方法の検討に時間を要したため、次年度のサンプル数が大幅に増加する予定である。高額な経費が見込まれるため、前年度繰り越し分は採取キットの追加購入やシーケンス解析費用に充てる予定である。
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