2022 Fiscal Year Research-status Report
ナノ銀粒子と乳酸菌を組み合わせた新しい歯科インプラント周囲炎予防法の開発
Project/Area Number |
22K17278
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
谷口 祐介 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 講師 (90780057)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | インプラント周囲組織の健康維持 / 匂い測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
インプラント周囲炎のより優れた発症予防法を確立することを目的とし、疫学3要因(病因、宿主要因、環境要因)に同時に働きかける予防戦力の効果を検証することとした。 これまでに乳酸菌タブレットの継続摂取による口腔インプラント周囲組織の健康管理として、歯周炎や口臭の抑制効果が報告されている乳酸菌Lactobacillus salivarius WB21株 (LSWB21) の継続摂取によって,インプラント周囲粘膜炎の発症を予防できるかどうかを調査した。その結果、乳酸菌LSWB21株の継続摂取は、インプラント周囲粘膜炎の発症予防に効果的であることが示唆されるデータを得た。 また、ナノ銀粒子によるインプラント上部構造の抗菌加工によりより優れたインプラント周囲組織の健康維持戦力を明らかにする調査を開始した。 インプラント上部構造の周囲組織の炎症度合い・インプラント体の細菌叢と官能スコアによる臭気・臭気測定器によるスコアの相関関係を調べることにより、インプラント周囲組織の炎症度合い・インプラント体の細菌叢を臭気スコアにより判別することを目指す。そのうえで、上部構造への銀イオンコーティングがインプラント周囲組織の健康維持にどれほど寄与しているか調査する。現状では、17症例ほどのデータ取得を開始しており、最終的に30症例データを収集することを目指している。 これまでに、ガスクロマトグラフィー分析ではいずれの患者においてもピークが検出されなかった。このことからインプラント周囲炎の臭いは揮発性硫黄化合物ではなく、他の臭気成分である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は臨床研究であり、患者の協力が必要不可欠である。 30症例のデータ収集を目標としているが、現在17症例のデータを収集しているところである。 2024年度までにデータ収集を終わらせ、データ解析を行う予定であることから、現在の症例数は予定通りと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では比較対象としてインプラントが除去になった患者のデータを用いている。今後は治療中のインプラント周囲炎の患者のデータを更に収集して比較する予定である。このことにより、現在インプラント周囲炎に罹患していないが、将来インプラント周囲炎に罹患するリスクが高い症例を予測判定できることを目指す。 また、本研究結果で明らかになった臭気ありと臭気なし群のインプラント上部構造に対して銀イオンコーティングを行い、臭気がどのように変化するのか調査を行う。 インプラント体から採取した細菌PCR検査を行い、インプラント周囲炎群と健康歯肉の中で臭気ありと臭気なしの、歯肉状態、官能スコア、匂い分布と細菌との相関関係を調査していく。
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Causes of Carryover |
次年度は細菌PCR検査や研究試薬購入などに助成金が必要である。また、研究結果を日本インプラント学会や口臭学会、口腔衛生学会などで発表する必要があるため助成金が必要となる。
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