2023 Fiscal Year Research-status Report
実行機能評価を活用した知的障害者の歯磨き改善支援の試み
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22K17287
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
松本 明日香 新潟大学, 医歯学総合研究科, 助教 (50909603)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 知的障害者 / 実行機能 / 歯磨き指導 / 歯磨き行動 / 障害福祉施設 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、通所型福祉施設を利用している成人知的障害者の口腔衛生状態を改善することを目的として、歯磨き行動に関連する実行機能の弱さを補う支援を実施してきた。当該年度は調査対象となる施設および対象者数を増やし、昨年度に引き続き介入調査を継続した。調査では、歯磨き行動に関連する実行機能の弱さを補う支援として、視覚支援媒体を用いて歯科衛生士が歯磨き指導を行うことに加え、歯磨き支援量の評価用紙を用いて、対象者が磨き残しなく歯磨きするために必要な支援を量的に記録した。 その結果、当該年度得られた研究結果は昨年度の結果を裏付けることとなり、歯磨き行動に関連する実行機能の弱さを補う支援の効果を確認することができた。具体的に確認できたこととして、歯科衛生士による視覚支援媒体を用いた歯磨き指導の回数を重ねることで、必要な支援量が有意に減少すること、および対象者の口腔衛生状態が改善することが確認できた。これらの結果から、視覚支援媒体を用いた歯科衛生士の歯磨き指導は、通所型福祉施設を利用している成人知的障害者の歯磨き技術の向上につながることが示唆された。さらに、本研究の対象者と同程度の知的障害者に対する歯磨き支援において、支援量の減少と口腔衛生状態の改善に必要な指導回数を本研究の結果をもとにおおむね予測できると考えられることから、本研究における指導スケジュールと内容は、成人知的障害者の歯磨き改善支援方法を検討するための一助になると期待できる。今後はこの調査結果をできるだけ早く論文投稿したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度中に目標対象者数に近い人数でデータ収集およびデータ分析を行うことができた。また、上記の結果を得て、学会発表を3件行うことができたが、論文投稿に至っていないため、進捗状況をやや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度までの調査で得られたデータをまとめ、次年度は論文投稿に向けた準備を進めていく。
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Causes of Carryover |
2022年度に新型コロナウイルス感染症の影響を受けて介入研究に遅れが出たことが2023年度にも影響し、衛生用品等の購入時期が変更となった。次年度は研究成果を論文にまとめるために使用する予定である。
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