2023 Fiscal Year Research-status Report
成育期の咀嚼・嚥下機能発達不全がオーラルフレイルを引き起こすメカニズムの解明
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22K17290
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
吉見 知子 長崎大学, 病院(歯学系), 医員 (20805973)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | オーラルフレイル / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
幼児期における食事の軟食化ならびに社会の高齢化が急速に進むなか、「噛めない」「うまく飲み込めない」児童や、摂食(咀嚼・嚥下)機能障害を持つ高齢者が急増している。食物をよく噛まずに丸呑みする食事パターンが老年期にまで継続すると、摂食・嚥下障害などのオーラルフレイルを有する高齢者がますます増加し、将来極めて大きな社会問題になることが予測される。そのため、オーラルフレイルの予防および早期治療への対策が検討されている。一般にその対応策は高齢者にのみ適用されるが、昨今の児童の口腔機能障害の増加を鑑みると、オーラルフレイル対策は一生涯を通じて検討されるべきではないかと考えた。本研究では、咀嚼筋にボツリヌストキシン (BoNT/A) 投与を行うことで、顎口腔機能低下モデルマウスを構築し、機能低下により引き起こされる成長期における咀嚼・嚥下機能の顎顔面形態への影響を評価し、オーラルフレイル予防および治療法を検討する。 マウスを対象とした顎機能解析を行う上で、健常マウスの基本的な顎運動や筋活動の様式を正しく把握しておく必要があるため、ハイスピードカメラを用いたモーションキャプチャーシステムを応用して、6自由度顎運動を測定した。また、動物実験用3DマイクロX線CTを用いて、上下顎歯列を含む顎顔面形態の3次元モデルを構築した。次に、顎運動データと形態データを統合することで、マウスの下顎運動を上顎との相対運動として、咬合接触状態を視覚化した。また、顎運動と同期した咀嚼筋筋電図を記録するシステムを用いて、筋活動に対応した下顎の任意点(臼歯、切歯、下顎頭点など)の運動を解析することが可能となった。本年度は食性を変化させた場合のマウスの下顎運動を計測および解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
機器の故障により予定していたデータ計測および解析が困難となったため。現在一部システムを変更して実験を継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、マウスの咀嚼筋へBoNT/Aを注入し機能低下を惹起した咀嚼筋機能低下モデルマウスを対象として、顎運動と同期した咀嚼筋筋活動のデータを取得し、正常マウスと比較しどのような機序によりオーラルフレイルを引き起こしているか検討する。
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Causes of Carryover |
マウスの実験施行匹数が予定よりも少なく、それらに関わる実験物品費用が減少したため。よって、次年度に予定匹数を追加して3次元顎運動・筋活動計測に必要な電極、磁石等の実験物品費用に充てる。また、マウスの予定匹数追加に伴う飼育経費や手術に使用する薬品の購入に充てる予定である。
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