2022 Fiscal Year Research-status Report
口腔マイクロバイオーム解析による誤嚥性肺炎の新たな診断基準の開発
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22K17293
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
西沢 知剛 東京歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (70833309)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 誤嚥性肺炎 / 歯肉縁下プラーク / 喀痰 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の背景として、口腔ケアによって誤嚥性肺炎の予防が出来る事、口腔内細菌数の量が多い方が誤嚥性肺炎のリスクが高いことは明らかになっているが、菌叢の関与は明らかにされていない。誤嚥性肺炎の予防には誤嚥のリスク因子とともに、口腔内菌数と菌叢組成の情報が必要となる。そのため本研究では、誤嚥性肺炎と非誤嚥性肺炎患者から得た口腔内の検体(歯肉縁下プラーク、唾液)と下気道の検体に関して菌量測定とその組成の解析を比較した、誤嚥性肺炎のリスクとなる菌種もしくは菌叢を明らかにし、誤嚥性肺炎発症の基準となる指標の確立を目的としている。初年度である、2022年度は、最初は患者サンプルを用いずに、自身などの検体を用いて、口腔内の検体と下気道の検体で、DNA量が得られるか確認した。まず口腔内の検体だが、唾液ではPowerSoil kitの検体チューブに検体をしっかり入れてもDNA量が少なく再現性が低いことが確認された。歯肉縁下プラークは、プラークの量が比較的得られていれば、DNA量が目的とする量が得られることが確認された。一方、下気道検体は、気管支肺胞洗浄(BAL)検体では、遠心して濃縮しても、DNA量が目的とする量が得られないことがわかった。喀痰は安定して目的とするDNA量が得られることが確認できた。そのため、患者サンプルは、口腔内は歯肉縁下プラーク、下気道は喀痰を採取し、DNAの採取という意味で再現性が高い両者を比較し、さらに、誤嚥性肺炎と非誤嚥性肺炎を比較検討していく方針とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述のように、患者サンプルは、口腔内は歯肉縁下プラーク、下気道は喀痰を採取し、DNAの採取という意味で再現性が高い両者を比較し、さらに、誤嚥性肺炎と非誤嚥性肺炎を比較検討していく方針とした。患者サンプルを用いた実験に入り、合計20サンプル(口腔内と下気道で10ペア)前後の検体を採取しがが、片方の検体ではほとんどDNA量が採取できていないといった事象もあり、今年度1年間で評価可能な検体採取が少なかった。 しかし、1stPCR, 2ndPCRの手技や実験系の確立まで行うことができ、どのくらいの量の検体量がとれていればDNA量が目的とする程度採取できるかについて確認できた。 次年度以降は、検体採取後、PCR産物に対して次世代シークエンスを行なった結果の評価を行なって行く予定である。また検体サンプル数も増やして行く。
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Strategy for Future Research Activity |
誤嚥性肺炎と非誤嚥性肺炎の口腔内と下気道のマイクロバイオームを比較し、論文化できるように、次年度以降は、第一の研究推進方策として、患者検体採取後に、1stPCR, 2ndPCRを行なった検体に対して、次世代シークエンスを行ない菌叢解析をすすめていく。第二に、サンプル数を増やせるようすすめていきたいと考えている。
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