2022 Fiscal Year Research-status Report
アルツハイマー型認知症の容態に応じた円滑な口腔機能管理に関する調査研究
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22K17296
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
白部 麻樹 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (30814818)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 口腔機能管理 / 認知症 / アルツハイマー病 / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔機能障害は認知症中期以降に顕在化するとされているが、各口腔機能障害(低下)に関する詳細な様相は明らかとなっていない。また、認知症高齢者への口腔ケア、口腔機能管理等提供時にはBPSD(認知症の行動・心理症状)による拒否等によりサービス受容が困難になることが知られている。その一方、認知症重症度別のBPSDも含めた具体的な口腔関連サービスの対応方法は示されておらず、サービス提供者の経験に基づく対応がされていることが多く標準化されていない。そこで、認知症の進行に伴う口腔機能低下の詳細な様相を明らかにすることを目的に、今年度の研究を実施した。 A県O町在住の要介護高齢者を対象に、2015年以降に年1回実施した調査に参加した延べ2365名のうち、ADと診断された者の結果を横断データとして利用した。認知症重症度はFunctional Assessment Staging(FAST)を用いた。口腔機能評価の項目は、オーラルディアドコキネシス(ODK)、反復唾液嚥下テスト(RSST)、改訂水飲みテスト(MWST)、舌圧測定とし、検査の実施可否を調査した。性、年齢、脳卒中の既往を調整したマルチレベルモデル二項ロジスティック回帰分析の結果、FAST1~3を基準として検査実施可否に有意に関連していた因子(オッズ比、95%信頼区間)は、ODKでFAST7(47.8、7.5-305.3)、RSSTでFAST5(0.2、0.0-0.9)およびFAST7(11.2、4.3-29.4)、MWSTでFAST7(23.7、3.8-149.1)であった。以上より、対象者の認知症重症度を踏まえ実施可能な口腔機能評価を適宜選択して実施し、その結果に基づき適切な口腔機能管理、さらには食形態選択等を行うことが望まれる。今後対象者を増やし、より詳細な当該情報の構築を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症感染拡大の対策として、以前の規模の要介護高齢者を対象とした調査はできなかったが、最小限での実施を検討し、また今までに実施した調査データを基に、本研究の解析を目的としたデータベースを構築した。構築したデータベースを基に、解析を行い、当初計画していた検討を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
口腔機能低下の様相および口腔関連サービスの受容状況を整理するため、解析に用いた調査項目を引き続き調査し、新規対象者を含む追跡調査を実施する。 また、今回新たに構築したデータベースは認知症重症度が軽度の者の対象者数が少ないため、今後も継続して調査を実施するとともに、今後縦断的な検討を行えるデータベースの構築も進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症感染拡大の対策として、以前の規模の要介護高齢者を対象とした調査はできなかったため、使用額が減額となった。次年度に調査実施を行う際に、調査物品等を購入するために次年度分と合わせて使用する予定である。
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Research Products
(3 results)