2022 Fiscal Year Research-status Report
へき地医師に対する整形外科診療教育:対面教育とICTを用いた遠隔教育の比較検証
Project/Area Number |
22K17297
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
穐元 崇 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (00836166)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 遠隔教育 / 総合診療 / 整形外科 / 自信 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢化に伴い、へき地では整形外科疾患の需要が急増している。一方、近年の新型コロナウイルス感染症の広がりに関連し、県境をまたぐ移動制限や以前から続く医師不足の影響もありへき地での整形外科専門医不在にも拍車がかかっている。そのため、へき地で働く内科医や総合診療医が、整形外科疾患の初期対応を担うことが増えており、整形外科関連の対応能力はますます求められている。また、近年の通信技術の発展や新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、遠隔医療の取り組みが世界中で加速しており、遠隔教育への期待も大きい。しかしながら整形外科疾患への教育は手技や臨床判断を含むため、遠隔教育の活用は限定的であった。今回へき地医療を長年経験した総合診療医・整形外科医である研究代表者により、へき地において単独で勤務する総合診療医に対し遠隔整形外科診療教育を行い、遠隔整形外科診療教育の効果を確認する目的で自信度の変化を測定した。またへき地無床診療所における整形外科診療の実数を測定することで総合診療医がへき地で行う整形外科診療の需要を確認した。整形外科分野に関しての遠隔教育に関しては、手術支援に関するものが多く、地域・へき地の外来診療や救急医療を担う医師に対する報告はこれまでに存在しない。今後行う予定の、総合診療医に対し整形外科専門医が遠隔整形外科診療教育を行った報告は初の報告となる予定である。へき地医療機関で働く若手総合診療医に対して遠隔整形外科診療教育を実施したことにより、総合診療医への教育効果を確認することや遠隔整形外科診療教育の運用に必要な因子を明らかにでき、へき地の整形外科関連疾患に対する医療の質を向上させることが可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、へき地診療所に単独勤務している総合診療医に対し、対面による整形外科診療教育と遠隔による整形外科診療教育を行う予定であったが、研究先が周辺に医療機関の存在しないへき地診療所であり、総合診療医に新型コロナウイルス感染が起こった際の診療停止による周辺への影響の大きさを考慮し、当初の研究計画を一部変更し遠隔による整形外科診療教育のみを行うこととした。 遠隔による整形外科診療教育の効果検証のために、研究前後の総合診療医の整形外科診療に対する自信度の変化に着目することとし、さらに自信度が変化した要因を明らかにすることとした。 研究方法に関しては、研究前後に、過去に報告されている総合診療医に求められる整形外科診療17項目の自信度を7段階のLikert scaleを用いて確認し、さらに研究前後に半構造化したインタビューを行い、自信度が変化した要因をインタビュー内容から抽出することとした。 教育内容に関しては、単独勤務している総合診療医へ過度の負担をかけないために、月に1回60分程度の遠隔による整形外科診療教育を遠隔会議システムを利用して実施する計画を作成し、さらに総合診療医へのサポートの為、研究期間中はいつでも緊急で整形外科診療に関する電話相談ができる体制を整えた。 令和4年6月から研究を開始した。遠隔による整形外科診療教育の内容は、1か月の間に診療所で総合診療医が行った整形外科診療に関して、総合診療医の疑問に返答し、さらに診療のコツや改善すべき点について指摘する、など整形外科診療全般にわたる画像を交えた双方向のコミュケーションを行いながらの教育であった。 1年間の実施を予定していたが、プライベートな事情により総合診療医が年度途中で休職することとなったため、研究期間を短縮し終了した。現在遠隔整形外科診療教育の効果について内容を解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
解析が終了次第結果をまとめ、へき地で単独勤務している総合診療医に対する、へき地を熟知した整形外科専門医による遠隔整形外科診療教育の効果を学会に発表し、その後に論文化する予定である。
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Causes of Carryover |
当初遠隔のみでなく直接整形外科診療教育も並行して行う予定であり、当該医療機関への交通費を支出する予定であったが直接整形外科診療教育を行わなかったため交通費の支出がなかったこと、1年間の研究計画であったが、総合診療医のプライベートな理由により研究期間が短くなったこと、さらに当該医療機関にも遠隔整形外科診療教育のため機材を貸与する予定であったが、貸与の必要性がなくなったことにより次年度使用額が生じた。 令和5年度は物品の充実、学会発表及び論文作成により研究を進める予定である。
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